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2005年12月10日 (土)

次世代に維持するべき社会保険制度について

厚生年金は(1942年)積立方式で成立し、老齢基礎年金は立ち上がり期には賦課方式(現役世代の保険料が年金受給世代の年金に回る)で成立した(1961年)。国民年金は国民皆年金を目指して賦課方式を採用した。賦課方式は立ち上げ期もすぐ保険金を給付できることがメリットであり、社会的世代間扶養という理論的根拠を与えたといえる。当時の時代背景は、高齢化率は低く、少子化の兆しもなく、雇用も拡大の一歩をたどり、所得も伸び続けていた。賦課方式は負担をしない高齢世代に即時に受益を与えその程度も増幅しがちであったといえる。(1973年福祉元年 老人医療費無料化 国民年金の増額)しかしながら、この恵まれた時代に設計された制度のマイナス部分がそれから30年から40年後に顕在化したのが現在の保険制度の問題点といえる。

賦課方式は立ち上がり期のやむをえない方式ではある。年金保険料負担期間はないのに受給している現役時代に年金制度のなかった人は、保険料に該当する負担を税金として徴収され、それを社会資本充実のために供しているという解釈もあるからである。その恩恵を後世代の人が受けているので無拠出受給者であってもそれなりの正当性がある。しかし何時までも国民に賦課方式の説明を固執するのは問題があるといえる。資本蓄積(社会資本)が時の経過と共に増え、教育投資も多い後世代ではこれらの恩恵を得て労働生産性も高くなると考えてもおかしくない。そうであれば国民負担率が上がっても可処分所得は減少しない。
賦課方式の場合、世代により人口が異なるため、給付に必要な資金をすべてその都度徴収すると人口構成の変化により不安定になり、世代間の不公平も生じることとなる。人口構成により調整の必要がある。予め積立てをしておく必要が生じるが、さらにその運用の問題も発生する。2000年には4人で一人分 2010年には2.8人で一人分 2025年には2.3人で一人分の負担が現状でも想定されており、さらなる国民の負担率の増加を意味している。現在の徴収した年金保険料を全て使い尽くす賦課方式は個人の生活に例えると貯蓄をしない生活であり、現実にはそんな人はほとんどいない。

 一方、積立方式だと自分の老齢年金は自分の拠出金から捻出される。保険料と給付額が連動し、国民負担率の増加は自分への年金給付の増加を意味する。問題は給付時における積立額の実質の評価額であるが、これは現役世代の生産性に影響される。賦課方式であれば必要な財源は現役世代から保険料として徴収されるが保険料は負担能力であり結局は現役世代の生産性に影響される。結局は賦課方式であろうと積立方式であろうと現役世代の生産性に影響されるのは事実である。その意味では世代間扶養は当然の事であり経済的側面では積立て方式も賦課方式も本質的・結果的にはあまり変わらない。

総論を言わせてもらえば、世代間の公平とともに、年金保険制度には所得再分配という理念があるが、世代内の公平を考えるときが来たのではないかと考える。つまり、高齢同世代の高額所得者と低所得者間(高齢者の世代内)の所得再分配・助け合いの考えである。富裕な高齢者もたくさん存在する。機会の平等と結果の平等により富裕な高齢者はその富を楽しむ権利を有するが、同世代の富は同世代の人達の働きの結果であり、この富裕層の高齢者は同世代の相互扶助として介護費用の負担を検討する時期が来たのだと考える。政府の押し出している世代間の所得再分配よりも高齢者世代内の所得再分配を重視すべきであると考える。

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