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2006年1月 8日 (日)

論文を書くときに聴く音楽

今まで学位申請論文として、医学博士論文(東京大学大学院)と経営学修士論文(MBA)(英Wales大学経営大学院)の二つの長い論文を書いた経験があります。どちらの論文も集中して数ヶ月に渡って書きましたが、理系と文系の論文は、全くアプローチが違います。 

Fi280_1e 理系の自然科学の論文は、ある全く新しい研究データが揃ったときに書きますので、その実験データがいかに正しいかを説明し、その臨床的利用を考察するだけでよいのです。なぜその実験を始めたのかの序章、材料ならびに方法の説明、実験の結果、実験結果から導かれる考察、最後に結語と、決まりきった構成で文章がかかれます。研究論文では基礎実験がほとんどの時間を占めます。医学の基礎実験はおそらく結果が出るであろう、約20の実験系のプロトコールを想定して地道な実験を行います。そのうち1つでも当たればもうけもので、絶対的に正しいというデータを揃えて、新しい論文の準備が出来ます。

ところが文系の社会科学の論文を書いてみると、全くアプローチが違います。ある理論を構築しそれが正しいと言えるように構成を作り上げるのですが、その理論が絶対的に正しいという保障は全くないのです。当たり前ですよね。ですから論理を構築するときに過去の論文を漁って、過去の論文を軸に、自分の理論の構築をしてゆくのです。文章は序章、本論、結びつまり、起承結の3部構成で書けばよいということになります。全く違う論理展開を使いますので、二通りのよい経験が出来たと思っています。

現在では脳内のグルコースの代謝というものを、[18F] フルオローデオキシグルコーズ (fluorodeoxyglucose) を用いたポジトロン放射断層撮影(PET)によって測定することが出来ます。このPETを使用して、同一人物が英語を話しているときと、日本語を話しているときの脳内の働きを観察したデータを見たことがあるのですが、面白いことに、全く違う部位が働いているのです。僕も時には英語の論文を書く機会があるのですが、面白いのですが、英語の論文は最初から英語で書いた方が書きやすいのです。以前に自分が英語で書いた論文を、日本語訳したことがあるのですが、これがまた大変な作業でした。思考回路が英語と日本語では全く違うのを体感した次第でした。

閑話休題

わき道にそれましたが、標記の話です。以前から勉強中に音楽を聴くという"ながら"勉強が好きだったのですが、文章を読んでいるときに集中力を上げるためには、「音楽には歌詞がない方が良い。」「クラシックのしかも、バロックといった抑揚がないものが良い。」というのは経験的に分かっていました。ところが、あるCDを見つけてしまったのです。僕が論文を書くときに集中力を上げるために必ずリピートで流しっぱなしにして聴くのですが、このブログを読んでいる方に特別にご紹介します。

アイザックスターン(ヴァイオリン)&ユージンイストミン(ピアノ)83年録音の、べートーヴェン作曲、ヴァイオリンソナタ第五番「スプリング」と第九番「クロイツェル」の二曲が入ったCDです。もともとスプリングとクロイツェルはベートーヴェンのヴァイオリンソナタを代表する曲ですが、この演奏には、二人の演奏が全く危なげがないというか、非常に端々としていて、曲に聴き込んでしまうということがないのです。お勧めです。但し、二曲を聴くためにCDをかける時は、ハイフェッツなどの他のヴァイオリニストの演奏の方が、抑揚があって、断然いい。面白いですね。

 ちなみに論文を書くときにはハーブティがカフェインがなくて良いです。脳は、炭水化物、脂肪、糖質の三大栄養素の中で、糖質しか使うことができません。ですから甘いハチミツなどを入れると脳の集中力が高まります。

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