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2006年5月14日 (日)

普通の風邪に抗生物質は効かない!!

Fi750_0e 朝、軽井沢で起きたら、左目が膿がついてしまって、目が開けにくいぐらいでした。結膜炎です。きっとゴルフ場のお風呂でもらったのかなあ。このところ、ストレスもあったし、免疫力が落ちていたのでしょう。


結膜炎というと、大きく分けて、アレルギー性結膜炎と、 感染性の結膜炎に分けられます。アレルギー性のものは両目で、感染性のものは片目で症状が見られるので、初期にはそれで診断がつきます。コンタクトレンズや花粉症の原因の場合、アレルゲンは両目に影響しますからね。


感染性の結膜炎の場合、ウイルス性のものと、細菌性のものがあります。細菌性のものには抗生物質が、ウイルス性のものには抗ウイルス薬が効くのです。でも、多くの結膜炎を引き起こすアデノウイルスに対する抗ウイルス剤はありません。体を休め、静養することが唯一の治療となります。


ところで、細菌とウイルスの違いってご存知でしたか?


細菌は、ヒトの体の中に入ると、自分の能力だけで増殖します、増殖したらその内毒素によって、ヒトの細胞を壊します。一方ウイルスは、ヒトの体に入っただけでは増えません。ウイルスはまず細胞内に入るのです。そして感染した細胞自体の代謝経路を使って複製することで増殖し、最後には、その細胞を壊してしまいます。つまり、細胞に寄生する生物(厳密に言うと、寄生虫とは違います。寄生虫は増殖して本体を殺すことはしないからです。)なのです、そもそも別物なんですね。そして、ウイルスは写真のように、こんな宇宙船みたいなカッコしているものもあるんですよ。



一般の風邪を引き起こす原因は下のようなウイルスが原因です。

RSウイルス
アデノウイルス
ライノウイルス
コクサッキーウイルス
エコーウイルス
コロナウイルス
レオウイルス
インフルエンザウイルス
パラインフルエンザウイルス
マイコプラズマ
クラミジア

一番下のマイコプラズマとクラミジアは特殊な型の細菌に分類されますが、上を見ると分かるように、ほとんどがウイルス発症なのです。


1940年代というかなり昔に、初めての抗生物質としてペニシリンが臨床利用されましたが、これは細菌が光学顕微鏡で観察できるぐらい大きいからです。抗生物質と違って、電子顕微鏡でしか観察できない大きさのウイルスに対して、抗ウイルス薬をつくるのは実は難しい作業なのです。さらに、抗ウイルス薬は、人の細胞に対して毒性をもったりします。当然、ウイルスが抗ウイルス薬に耐性をもつようになることもあります。


抗ウイルス薬として開発されたものは、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、HIVウイルスなどに対して薬効を認められているものがありますが、まだ数種類です。


上記の風邪を引き起こすウイルスの表の中で、抗ウイルス薬が開発されているものは、インフルエンザだけであるといえます。でも、私達医師の眼から見ると、本当に画期的なことでした。風邪薬は、症状を抑えるために処方するだけで、根本治療はできないというのが常識だったんですから。


ただし、良薬口に苦し。良い薬は当然、副作用もあります。画期的な薬だった抗インフルエンザ薬のタミフルの副作用情報が新聞に載りましたが、こういった情報を聞ける家庭医を、普段から選んでおきたいものですね。

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