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2006年6月20日 (火)

日々新しくなる医学の情報

Fi917_0e 寄生虫感染が減ると、アトピーが増えるといった考えがあるのですが、エクアドルの医師が、2006年5月に臨床医学誌ランセットに載せた論文(Lancet. 2006 May 13;367(9522):1598-603. Effect of albendazole treatments on the prevalence of atopy in children living in communities endemic for geohelminth parasites: a cluster-randomised trial.)のなかで気になる記事を見つけました。


それは、駆虫しても、残念ながらアトピーやアレルギーの罹患率に変化がない。というデータを示したものでした。


彼はエクアドルの小学生を対象に、アベンダゾール(albendazole)という駆虫薬を用いて駆虫を実施したうえで、約一年後にアトピーとアレルギーの有病率を調べてところ、実験開始前と統計学的な差がみられないことを述べています。


彼はディスカッションの中で、寄生虫感染が減るとアトピーが増えるのでなく、アトピーだと寄生虫感染が起きにくいという可能性があること。もしくは、寄生虫感染によるアトピー抑制は生後数年間に形質として獲得され、成長してからの駆虫には影響されないなどの可能性を述べていました。


実はこういった全く結論の異なる論文は、医学の世界では良く出るのです。データの母体となる人種や年齢によっても差はあります。統計によってもデータが変わります。


僕は、昔都立の看護学校の講師を3年間していたことがあります。レギュラーでは麻酔と救急医療について教えていたのですが、最後に国家試験対策という授業をやっていました。僕は共通1次試験世代ですし、学生のときも、ダブル・トリプルヘッターで家庭教師をやって教科書代や、生活(遊び?)費を稼いでいましたから、マークシートは得意です。出題者の意図を読んで、必ず不正解である答を探してやると、自然と正解が導かれる問題も多くあるのです。でも看護婦さんの卵に、そういった試験のテクニックを教えてくれる人はなかなかいません。


そのときに、看護師国家試験のときの選択枝の中に、”必ず”という言葉があった場合、それは絶対に不正解だと思っていいよと教えた記憶があります。


医学の世界においては、例外は必ず存在するのです。死の病から奇跡的に復帰する人。治らない病気が治ってしまう人。余命3ヶ月といわれたのに10年以上もピンピンしている人などなど。


医師がどんなに医療をしても、最終的には患者さんの生命力に助けられるんですよ。人間というものはまあ、人知を超えた存在なんでしょうね。

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