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2006年9月 9日 (土)

痛み治療の講座

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明日の学会講演のため、韓国入りしました。会場はソウルのロッテワールドホテルですので、そこに滞在しているのですが、横からロッテワールドの歓声が聞こえてくるような立地です。


ちょっとまとまった時間が取れたので、今度僕が担当する“痛みの治療に関する講義”について書きたいと思います。


自然療法に関する最新の情報をシェアしたり、セラピストさんを派遣してもらって、お世話になっているIMSIで、痛みの治療に関する講義をすることになりました。IMSIブログ


お題は「医学博士が解説する、4時間で解る痛みの構造とその緩和法」です。


講座内容:
● 痛みの発生のしくみ
● 痛みをもつクライアントが来た場合の対処法
(動かして良いのか、マッサージして良いのか、温めた方が良い場合、冷やした方が良い場合など)
● ペインクリニックの役割とは
● ペインクリニックにおける痛みのアセスメント法
● 西洋医学的痛みのコントロール法
(鎮痛薬、モルヒネ麻薬性鎮痛剤、NSAID、抗うつ剤など)
● 痛みの種類(頭痛、神経痛、腰痛、関節痛、帯状疱疹痛、がん性疼痛、慢性疼痛など)
● ペインマネジメントにおける自然療法の役割



僕は医師としての初期研修に麻酔科を選択しましたが、その理由は、麻酔科が痛みのスペシャリストであるとともに、救急医療の技術が体得できることにありました。さらに、痛みと密接な関係にある、自律神経の研究が出来ることも大きな理由のひとつでした。


病気で最も苦しく、いやなことは、「痛い」ことだと思います。死が怖い理由のひとつも、死の直前かつて体験したことのない痛みが自分を待っているのではないかと思うことでしょう。結局麻酔専門医とペインクリニック認定医の資格を取り、東大病院でペインクリニックの外来を持ったり、都立の看護学校の講師をしたりしましたが、「痛み」がもたらす恐怖・不安・ストレスについて現場で何度も考えさせられました。


現在は米国レーザー医学会(ASLMS)や、日本形成外科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会などの学会に所属し、美容皮膚科のクリニックを経営してはいますが、いまだに痛みの緩和に対する医学的興味を失ったわけではありません。レーザー治療を行う上でも痛みを最低限に抑えるためにはどうしたらいいかを常に考えています。


僕がペインクリニックに興味を失い、別のジャンルに移行していったのは、西洋医学のアプローチとして痛み治療に使用できる施術が、いわゆる薬と、局所麻酔薬の神経注入・・・すなわち=神経ブロックの二つしか手段がなかったことにあります。


しかしながら、もし西洋医学にアロマセラピーやリフレクソロジーなどの自然療法的アプローチを加えることができれば、痛みに対して多方面からの、それこそメンタルケアも含めた、もっと包括的な対応ができると思うのです。特に最近では、レントゲンをとっても血液を採取してもなんの異常も認められない、“病気未満”の疾患と痛みで悩む患者さんが増えています。こうした方は行く場所がなく、整体や鍼灸、アロマセラピーやリフレクソロジーなどのサロンを頼るしかないわけです。けれど現状としてこのジャンル・・・特にセラピーの専門家は、痛みの基本的メカニズムや病院で処方される薬について学校で教えてもらうチャンスに恵まれないことも多く、コンサルテーションに時間をかけてもクライアントの状態を正確に把握することができないまま、施術に入るケースが多いというのです。


西洋医学一辺倒であった戦後の医療から、東洋医学や自然療法を含む補完療法/統合医療の見直しがなされている現在ですが、新たなアプローチで慢性痛という概念に挑戦するのは、非常に楽しみなことです。医者として持っている知識がこうした現場で役に立てば、これほど嬉しいこともありませんしね。


今後ますます注目されるであろう「ターミナル・ケア」を考えても、医療と自然療法が真剣にタッグを組んで“痛み”に取り組む時代がもう目の前に迫っている気がします。それこそ本当の意味での「メディカル・スパ」がこれから誕生していくことでしょう。僕自身チャンスがあればぜひ立ち上げてみたいです。


聞けば来月行われる講座には、医療現場の方からも受講の申し込みがすでに来ているとか。講義をきっかけに活発な意見交換を皆さんとできれば、と思っています。

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受信: 2006年10月 1日 (日) 09時29分

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