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2007年5月

2007年5月30日 (水)

レーザーの歴史 その参 あざやほくろに効くレーザーの登場

あざやほくろに効くレーザーの登場

レーザー光線は、波長によって肌の下で反応する物質が変わる・・・という話はロックス=アンダソンによって指摘されましたが、肌の下の組織は、水・メラニン・ヘモグロビン・タンパク質の4つになります。 脱毛レーザー開発とほぼ同じ時期Photo_6 に、あざやほくろをとるためにメラニン吸収を主体にしたレーザーが開発されました。

主に初期に使われたのが波長が694nmのルビーレーザーでした。 この波長はメラニンへの吸収性がよく、それに比較してコラーゲンやヘモグロビンへの吸収率が低いため、茶色いメラニンには使用しやすかったのです。

Stones_ruby2 この種のレーザーでも技術革新が進みます。実際にレーザーを照射する時間を「パルス幅」というのですが、この幅が短ければ短いほど、組織に対して熱が伝わる時間が短くなり、標的組織を破壊する能力が高くなるため、メラニン色素をとるためのレーザーはこのパルス幅を短くする技術の競争になりました。

パルスの幅がミリセコンド(1/1000秒)単位のものをロングパルスレーザー。その1,000分の1単位のマイクロセコンド(1/1000000秒)単位のものをノーマルパルスレーザー。そのまた1,000分の1単位のナノセコンド(1/1000000000秒)単位のものをQスイッチレーザーと言います。

Photo_7 Qスイッチレーザーは694nmQスイッチルビーレーザーを初めとして、755nmQスイッチアレキサンドライトレーザー、さらに1064nmQスイッチNd-YAGレーザーが開発されました。これらのレーザーは、いったんあざやほくろにレーザーを打ち込むと、この写真のように、まず色が白く変化し、じわじわと出血が始まり、色が変わり、3週間ぐらいでかさぶたととにもあざやほくろが取れるというものでした。

レーザーの歴史上、ここまでをablative resurfacingと言います。肌にいったんかさぶたを作って数週間後に肌を治そうという考えだったのです。しかしながら、施術後にすぐにメイクをして帰れるというnon-ablative skin resurfacingの技術が開発されたことによって、光治療器やレーザーを使用した肌の若返り療法は一気に加速します。

いわば、レーザーや光治療器は、ほくろやシミを対象とした手術室の“メス”から、顔全体のホワイトニングやリフティングを行う“進化した美顔器”的な存在に変化してゆくわけです。

明日のお題は「画期的な色彩的老化(シミ、くすみ)の治療法・IPL(フォトフェイシャル)の登場」です。 

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2007年5月29日 (火)

レーザーの歴史 その弐 東洋人における脱毛レーザーの応用

東洋人における脱毛レーザーの応用

Lpir 1996年、アメリカのフルモト(日系人)が、有色人種にも対応できる最初の脱毛レーザー、サイノシュア社LPIR(ロングパレスアレキサンドライトレーザー)を開発しました。

それがアレキサンドライトレーザーです。アレキサンドライトという人工宝石を用いて755nmという波長を出すレーザーでした。日本にも、その翌年である1997年に株式会社JMEC により輸入されました。

その後、よりパルス幅(照射時間)が短いキャンデラ(Candela)社のアレキサンドライトレーザージェントルレーズ(GentleLASE =冷却ガスとともに照射さGentlelase れるレーザーが日本に入ってきました。パルス幅が短いことによって、より細い毛にも対応可能となったのです。

さらに、ルミナス社(旧コヒレント社)より、半導体を使ったダイオードレーザーライトシェア(Light Sheer が登場しましLightsheer_sm た。ライトシュアは先端のハンドルピースに冷却装置がついているため火傷を起こしにくく、パルス幅も1秒当り530ミリと広くなっています。レーザーの性質上、不得意分野とされているうぶ毛の脱毛にも効果を発揮し、男性のヒゲの脱毛にも利用されています。このダイオードレーザーは、19994月に世界初の「永久減毛(Permanent Hair Reduction)」のFDA承認を受けました。

次に脱毛の世界に入ってきたレーザーが、ロングパルスヤグレーザー(波長1064nm)です。 肌の色の濃いApogee_elite 部位や毛根の深い場所の脱毛に最適なレーザーで、メラニン色素への吸収率は波長が長いほど低いため、1064nmのヤグレーザーは色素が多い肌には有利になるのです。日焼けした方の細く薄い毛を処理することもできます。メラニンに対する吸収率が高くないので、照射エネルギーをあげてもヤケドを起こす可能性はずっと減少します。最近アメリカでは、黒人やヒスパニッシュの脱毛に多く用いられています。

明日は、あざやほくろに効くレーザーの歴史について書きます。

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2007年5月28日 (月)

レーザーの歴史 その壱 レーザー発想の誕生と黎明期 

今日から数日間にわたって、自分の専門でもあるレーザーの歴史についてこのブログで触れたいと思います。今日はレーザーの理論の誕生と、脱毛レーザーについてです。

レーザー発想の誕生と黎明期

ノーベル物理学賞を受賞したアインシュタイン1920年代半ばに行った「誘導放出の研究」という論文がレーザー発想の原点です。

Index15_02 1954年に、CTownes(タウンズ)Schawlowらが、電波の一種のマイクロ波を強力にまっすぐに送り出す装置である水素レーザーを開発しました。1960年にはアメリカのT.H.メイマンがルビーの結晶を使い、“光を強力に直線的に送り出すレーザー発振装置を開発しました。これが近代レーザーの発祥です。1960年代にはレオン・ゴールドマンが世界初のルビーレーザーで子供の皮膚の血管腫の治療を行いました。彼はこの功績から「レーザー治療の父」と呼ばれています。  個々数十年は、皮膚科領域だけPhoto_11 ではなく、外科手術などの他の医学領域や、工学部門でレーザーが活躍する時代となりました。いわばレーザーの発展期と言えます。

レーザー脱毛器の誕生

1983年、ハーバード大学皮膚科ウェルマン皮膚研究所のロックス・アンダソンとJ.A.パリッシュが「Selective Photothermolysis(選択的光熱融解理論)」という論文を著名な科学雑誌サイエンスにアクセプト(採用)させました。

Covermed_2 この理論は、「光は、生体における特定の色素顆粒のみに光熱融解を起こさせる」というものでした。周囲組織には、なんら熱変化を与えることなく、茶色いメラニンや赤いヘモグロビンといった特定の色素細胞だけを選んで破壊するという理論です。この際、R.アンダソンのチームが、レーザーを使用して目の周りのアザの治療を行っていた時に、眉毛が生えてこなくなったという事実に着目しました。この事実から、「レーザーを使っての永久脱毛の可能性」を見出したとされています。

そして1996年、M.グロスマンによって、ルビーレーザーを用いた 世界初の脱毛機が誕生する運びとなったのです。このレーザーは、皮膚表皮にメラニンが少ない白人にのみ対応可能で、有色人種の皮膚の表面に含まれるメラニン色素に過剰反応してしまい、光が毛根まで届かなかったり表皮に火傷を負わせてしまうなどの結果を招きました。

東洋人における脱毛レーザーの応用については明日書きます。

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クリニックF

医学博士  米国レーザー学会(ASLMS) 専門医

            ヨーロッパ皮膚科学会(EADV) 認定医

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2007年5月27日 (日)

究極の毛穴治療とは?

暑くなってきましたね・・

皮脂分泌も活発になり、毛穴の開きや黒ずみが気になる季節です。最近は女性ばかりでなく男性から毛穴をなんとかしたいというお問い合わせも多くなってきました。 日本人がこんなに毛穴について悩むようになるなんての昔は考えられなかったことでした。(乾燥肌で悩む人はいましたが) 食生活が変わってきたことや環境ホルモンの影響でしょうか?

Photo_5 僕自身は、毛穴を消すための「マックス・ピール」というQスイッチNd:YAGレーザーのカーボンを使ったレーザーピールに関わっていたこともあり毛穴の取材は、2003年くらいから国内外の雑誌より、多く受けるようになりました。

マックスピールはNdYAGというレーザーを使用するのですが、このレーザーの波長は黒いものに反応する性質があります。このレーザーはマイクロ秒と、ナノ秒の二種類のパルス幅が選択できるのです。

 顔に塗布したカーボンでマイクロ秒のパルスで熱を生成し、ナノ秒(Qスイッチ)の波長でカーボンを破壊して、表皮を軽くピールしてゆくのです。非常に良いレーザーでしたが、回数を何度も繰り返しても深いアクネスカーには改善に限界があり、素晴らしい結果が出た症例が非常に少なかったのです。   

  Photo_4 今なら、米国レーザーの専門医としては、マックスではなくアファームを選択すると思います。毛穴を引き締め、黒ずみを除去する、しかも照射時間は約5分くらい。効果も翌日には明らかに分かりますし、すばらしいレーザーが開発されたものだと関心します。

  毛穴治療についてもうすこし書きたい気持ちがありますが、毛穴の話に行く前に、まずは僕の専門であるレーザーについて詳しくその歴史を書いていきたいと思います。

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2007年5月25日 (金)

クリニックF 開院

Top_logo クリニックF  へはこちらから

拝啓

新緑の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素はひとかたならぬ御愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。さて私こと

藤本 幸弘は平成19年5月26日、JR営団地下鉄四ツ谷駅より徒歩1分 上智大学の通り向かいに新しくクリニックを開業させて頂くこととなりました。

レーザーに魅了されてここまで来ましたが、新しいクリニックは患者さまの為はもちろん、国内外から訪れるドクターやレーザー医療関係者のアクセスを第一に考え、わかりやすくシンプルで、ある意味レーザーと光治療の初心に立ち戻ったコンセプトが核となっております。

新クリニック立ち上げに伴い、数々の方に助けていただき、こうして無事開業の日を迎えることが出来ることとなりました。皆様には感謝の言葉もありません。本当にありがとうございます。

私はレーザーの専門医として、アンチエイジング領域におけるレーザー医療の可能性をこれからも探っていきたいと思っております。ビバリーヒルズやニューヨーク5番街と同じ機材・施術をリアルタイムで導入し、そこに日本的ホスピタリティと繊細な技術を加えた世界一のそして世界で唯一の「レーザークリニック」を創ることを目標に、一から頑張っていきたいと思っております。ぜひ一度遊びにいらしてください。スタッフ一同お待ちしております。

今後とも今までと変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

20075月吉日

クリニックF院長  医師 医学博士 経営学修士(MBA) 藤本 幸弘

Photo 奇麗な花がたくさん届きました。ありがとうございました。

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2007年5月18日 (金)

憧れのウィーン

011 オーストリアの首都、音楽の都ウィーンは一度訪問したい憧れの土地でした。 シェーンブルン宮殿などのハプスブルグ王朝にまつわる古い建物がある一方で、006

EADV(ヨーロッパ皮膚科泌尿器科学会)のような大きな医学学会のできる様な近代的なコンベンションセンターも新旧の街並みがあるのです。

018 今回は滞在が40時間とほとんど自由時間がなかったにも関わらず、どうしても訪問したかった樂友協会の大ホールに夜中に見学に行ってきました。

大ホールといっても別名ゴールデンホールという名前なのですが、このホールの名前に聞き覚えのある人はいませんか?

020そう。ウイーンフィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートを開催するあの場所なのです。テレビでご覧になったことがある方もいるかもしれません。年始にヨハンシュトラウス一家の作曲したワルツやポルカなどが演奏され、世界中に中継されるあのコンサート会場なのです。いちクラシックファンとして、思わずうれしくてにやついてしまいましたよ。日本では2002年の小沢征爾の指揮のものが有名だと思いますが、89年91年のカルロスクライバーの演奏も素晴らしかったです。僕は昔DVDを見つけた瞬間に購入してしまいました。

026

この日は観光客向けの小さな演奏会がありました。モーツアルトを中心に、ウイーンにゆかりのある曲を演奏してくれたのですが、最後の曲はお約束のラデッキー行進曲。もちろんニューイヤーコンサートをまねて、皆で手拍子しました。明日は早朝に空港に行き、日本に帰らなければなりません。

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2007年5月16日 (水)

ウィーンでのEADV ヨーロッパ皮膚科学会

005 ウィーンで行われた、ヨーロッパ皮膚科学会に参加してきました。花の都ウイーンは、クラシック好きな僕にとっては夢のような場所で、一度訪問したい街の一つでした。今回は滞在時間が40時間台という、超ハードな移動でしたが、クリニックの開業前に、今年度のレーザーのトレンドをつかむことができたように思います。

037 皮膚科学会のレーザー部門では、いくつも面白いレーザーが発表されていました。やはり山となるのはフラクショナルレーザー部門です。フラクショナルなレーザーは、ミニマムアブレイティブな施術と言われて、日本にはまだあまりなじみがないようですが、実際に効果を出すためには一日二日間、肌が赤くなる程度エネルギーを入れるほうが当然効果的となります。この市場は今後より広がると思います。個人的にはとても楽しみにしています。

039 まずはフラクショナルレーザーの雄であるフラクセルⅡ。これはついにローラーを使用した青い染料をぬらなくてもよいタイプをデビューさせました。写真を見ると、ローラーがついているのがわかります。フラクセルⅡとなって、照射部位や、照射したい深さに合わせて、より細かい設定ができるようになっていたため、機種の能力としては素晴らしいものでした。ネックとなっていた青い染料がなくなることで、使用感もよくなります。

063 対するアファームを擁する米国Cynosure社は、いよいよアファーム・マルチプレックスという機器をデビューさせました。

Cynosure社は全く違う波長のレーザーをマイクロ秒単位でほとんど同時に発射するマルチプレックスという技術を持っています。

アファームマルチプレックスは、今までの1440nmのアファームの波長に加えて、1320nmの赤外線をほとんどタイムラグ無しに照射する方法なのです。1320nmの波長はリフティング効果があるため、アファームマルチプレックスでは、肌のテクスチャーの入れ替えと、たるみをとるという二つのことが短時間にできるということなのです。

046_1 この機種はクリニックFにも導入することが決定しており、現在輸入待ちですが、いわゆるたるみをとるタイタンというCUTERAの機械に、フラクセルⅠがついたような感じでしょうか?期待度の高い機械です。

フラクショナルで驚いたのはオーロラで有名なシネロン社がフラクショナルなポラリスをリリースしたというもの。ポラリスの光をフラクショナル(とはいっても6分割ですが)で打ち出すことで、深くまで浸透させるというものです。使ってみないとわからないのですが、効果はどうなんでしょうか???

どの社もフラクショナル一色でいるところを一社だけ、フルリサーフェシング(肌を入れ替える)機械を発表している会社がありました。CUTERA社です。

043 この機械は3月に行われたアメリカ皮膚科学会(AAD)で発表されていたのですが、YSGG(イットリウムースカンディウムーガリウムーガーネット)という2.79マイクロメータの、肌に照射するレーザーとしては新しい波長を使用した、PEARLという機器なのです。

この機器は水に吸収されるタイプの蒸散系のレーザーの一つですが、薄くしか削れない、エルビウムヤグ(サイトンというレーザーが有名です)レーザーと深く削れるが、創面が炭化してしまう炭酸ガスレーザーのちょうど中間ぐらいの性質を持ちます。

おそらく白人種の肌の凸凹、毛穴や、色素沈着の改善にはジャストミートする機種だと思います。日本人だとどうでしょうか?使いこなすことができれば、ほぼすべての疾患に対して利用できるので、素晴らしい効果が望めますが、色素沈着などの問題を起こさないように、使用には注意が必要だと思います。実際に使用するのが楽しみです。

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