音楽

2007年10月 5日 (金)

魅惑のアルゼンチン タンゴ

Tangoアルゼンチンに来たからには本場のタンゴをぜひ観たいものだと思っていましたので、行ってきました。アルゼンチンにはタンゴの店が本当に沢山ありますが、この「ミケランジェロ」“MICHELANGELO”というお店は比較的新しい店なのだそうです。Tango2

最初にお店に入ると、シャンパンを一杯渡されて、階下でお待ちくださいと言われます。お客さんが集まりだすと、女性が一人現れ、アカペラで歌Tango4を歌うのです。

二曲ほど歌った後に二階のダイニングルームに通され、食事をしながらタンゴショーを待ちます。Tango3

ショーは2時間ぐらい。観光客用に脚色されて、ふりが大きくなっているそうですが、タンゴのステップってかっこいいのですね。

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2007年9月15日 (土)

一家に10台のスタインウェイ

Photo 全米ビルボード・クラシックチャートにおいて10週連続第1位に輝いた5人兄妹のピアノ・アンサンブル「THE 5 BROWNS」が来日したので、診察終了後電車に飛び乗って聴きにいってきました。

ヒューストン出身のデザレー、デオンドラ、グレゴリー、メロディー、ライアンの5人兄妹は、全員がニューヨークの名門ジュリアード音楽院出身。その5人がスタインウェイのピアノを“5台並べて”繰り広げるアンサンブルは、なかなか見ることの出来ない光景でした。

演奏に使われているスタインウェイ(Steinway & Sons)は、ベヒシュタイン、ベーゼンドルファーと並んで、ピアノ製造会社の御三家の一つです。 ニューヨークとドイツのハンブルクに生産拠点を持つスタインウェイは、今でも多くの演奏家に愛される、いわば世界で最も有名なピアノであると言えますね。公式WEBがとてもセンスがいいので良かったら覗いてみてください。

公演中に観客からの5人への質問コーナーがありました。

「皆さんどのように練習されているのですか?」

という質問に対し

「5人それぞれが自分の部屋にスタインウェイを置いて独自に練習しています。また、地下のスタジオにはレコーディング用に5台のスタインウェイが並んでいます。」

と答えていました。ひとつの屋根の下に10台のスタインウェイですよ。プロですから当然のことかもしれませんが、これにはびっくりしました。

コンサートは、アメリカらしいウィットとショウマンシップ溢れる進行で、演奏終了後には5人揃って握手会に応じファンは非常に喜んでいました。演奏の方は、5台のスタインウェイで演奏された「パガニーニの主題による狂詩曲の第18番」、そしてストラビンスキーの「ファイアーバード(火の鳥)」など、今まで聴いたこともない新しい解釈も入っていて非常に興味深く、また素晴らしかったですよ。

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2007年9月12日 (水)

音痴と空間把握能力の関係

Neuro0707_homecover 毎月VISAカードの会員誌を楽しみにしています。今日も読んでいて、東大薬学部の池谷裕二准教授のコラムで「音楽脳」について、素晴らしく面白い記事を見つけました。ネイチャー神経科学の2007年7月号の記事について書かれたコラムだったので、自分でも探して読んでみました。

以下池谷先生のコラムとネイチャーの記事を合わせて御紹介させていただきます。

音痴(Amusia)とは、メロディーや音程の認識が苦手な症状で、人口の4%が有するが、耳などの感覚器の機能不全が原因と、簡単に説明できるものではないのです。つまり、耳は正常に機能しているし、大脳皮質の聴覚野の活動に異常が見られるわけではありません。

これは音楽ではなく言葉に置き換えて考えるとわかりやすいそうで、たとえば日本語でも「明日いらっしゃるんですね」という文章を、「明日いらっしゃるんですね?」と同じ文章を疑問符で使った場合と疑問符がつかない場合では、この「ね」の文字の音程の差だけで、われわれはすべての文脈を認識するわけですが、音痴の人でも、この音程差は間違いなく認識して、意味を理解できる。ですから、耳の感覚器に異常があるわけではない、というわけです。

ニュージーランドのビルキー博士らの研究によると、音楽家と、いわゆる音痴な人を比較すると、空間把握能力に相関性があるというのです。空間把握能力は、立体図形を頭の中で回転させた図を思い浮かべるという、簡単な試験で確かめられます。モニターに出てきた図を立体的に回転させて、その図形が別のどの図形と一致するかという、IQテストでも行なう試験です。

一般的に女性より、男性の方が空間把握能力は高いと言われています。確かに地図を見たり、車を縦列駐車をするなんて、男性が得意ですよね。この論文では、その事実を裏付けるように、ビルキー博士は実は女性の方が音痴が多いと考察しています。

音程はピッチで表わしますし、音程を表わす楽譜は等高線のようにも見えます。実は僕も絶対音感を持っているのですが、自分も設計図から出来上がりを予想するような、空間把握能力は決して低くはないのでは? と思っていました。

脳の同じ場所で空間把握能力と音程把握能力が機能している可能性があるなんて、不思議ですよね。

逆に、建築家の方は、音痴があまりいないのでしょうか? 今度建築士の友達に聞いてみようと思いました(笑)。

David K Bilkey博士のアブストラクトの原文を引用しますので、ご興味のある方はお読みください。また、VISAカードの会員の方、池谷先生のコラムもぜひ読んでみてください。僕は池谷先生の著作にも興味がわき、取り寄せようかこれから検索します。

Amusia (commonly referred to as tone-deafness) is a difficulty in discriminating pitch changes in melodies that affects around 4% of the human population. Amusia cannot be explained as a simple sensory impairment. Here we show that amusia is strongly related to a deficit in spatial processing in adults. Compared to two matched control groups (musicians and non-musicians), participants in the amusic group were significantly impaired on a visually presented mental rotation task. Amusic subjects were also less prone to interference in a spatial stimulus-response incompatibility task and performed significantly faster than controls in an interference task in which they were required to make simple pitch discriminations while concurrently performing a mental rotation task. This indicates that the processing of pitch in music normally depends on the cognitive mechanisms that are used to process spatial representations in other modalities.

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2007年7月 6日 (金)

7月のボサノバ

クリニックFのBGMは、ふだんは僕の趣味のクラシックばかりを流しています。以前は有線を入れていましたが今はi-pod i-tunesなどの素晴らしいツールがあるので、BGMに選択する音楽を自分で決められるのですよね。クリニックの営業時間が8時間としてその間、どんな音楽を流すか、考えながらプログラムを決めるのが好きです。患者さんの中には、音楽に詳しい人もいて、“このショパンの演奏に聞き惚れてしまったのですが、ピアニストは誰なのですか?”などと聞かれると嬉しくなってしまいます。

最近はちょっと蒸し暑い季節になってきたのでBGMにボサノバを流すこともあります。

ボサノバと言えば、僕の中ではジョアン=ジルベルト

ゲッツ/ジルベルト

アーティスト:スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト,ジョアン・ジルベルト

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ゲッツ/ジルベルト

買ったきっかけ:
ジョアンジルベルとはボサノバの神様です。彼がスタンゲッツと競演した名盤

感想:
ボサノバの音楽を聴いたら。その魅力にひきつけられるでしょう。特に夏はとっても合いますね。

でしょうか。彼が初来日した2003年の横浜公演には、診療の合間を縫って、コンサートに行ったことを思い出します。ジルベルトで好きなアルバムは、やはり古典的名盤ともいえる、ジャズサックス奏者のスタン=ゲッツと競演した「ゲッツ/ジルベルト(写真)」ですよね。「イパネマの娘」「デサフィード」「コルコヴァード」などは超のつく名演です。

そういえば、大学のときにサンバパーティーに参加したことがあります。サンバの祭りがあるときに皆で集まって、サンバの演奏をするのです。僕はテンポをとるタンブリンを担当しました。“トントントトストストストストト”というリズムを使うのですが、ボサノバはタンブリンの裏打ちのリズムをそのまま取り出したものなのです。ボサノバを聞くと、いつも大学時代が懐かしく思い出されます。

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2007年7月 1日 (日)

チャイコフスキー国際コンクール

チャイコフスキー国際コンクールの入賞者が発表されましたね。ヴァイオリン部門で日本人ヴァイオリニスト神尾真由子さんが優勝されたそうです。同じ日本人としてはとても嬉しいニュースですよね。

日本からヴァイオリンの優勝者が出たのは、90年の諏訪内晶子さん以来ということになります。僕は5年ほど前に一度サントリーホールで諏訪内晶子さんの演奏を聴いたことがあります。細い身体を弓のようにしならせて弾くチゴイネルワイゼンに、感動しましたっけ。

チャイコフスキー国際コンクールは原則として4年に一度モスクワで開催され、音楽の世界では若手音楽家の登竜門のコンクールであり、過去の優勝者の中には現在巨匠と呼ばれる人も多々いることで知られています。

Mosukko このコンクールが初めて開催されたのは、1958年。ロシアによるロシア人音楽家のためのコンクールであったはずなのに、ピアノ部門の第一回優勝者がアメリカ人のヴァン・クライバーンであったことで物議を醸したと聞いたことがあります。名も知られぬ田舎の若者だったクライバーンは、この優勝によって一躍アメリカの国民的スターとなりました。同年RCAに録音したチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番が、アメリカでプラチナ・ディスクに輝くなど、クラシック音楽ファンの垣根を越えた幅広い人気を誇り、まさにアメリカンドリームを実現したことで知られています。

また、第二回の62年には、ピアノ部門でウラディーミル・アシュケナージが優勝しました。彼は2004年からNHK交響楽団の指揮をしていますから日本では馴染みのある人ですよね。最近は指揮者として有名になってしまいましたが、以前ピアノ協奏曲の指揮をピアノを弾きながらしていた時期があり、そのときの美しい演奏を良く覚えています。

98年には、以前にもこのブログで書いたデニス・マツーエフが、02年には上原彩子さんがそれぞれピアノ部門で優勝しています。このコンクールの入賞者の演奏を聴くのはクラシックファンとして大きな楽しみの一つです。

神尾さんのヴァイオリンの演奏を聴く機会はいつになるのでしょうか。コンサート情報、早速チェックしてみますよ。

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2007年6月19日 (火)

フランツ・リスト

前回書いた「パガニーニ」の話の続きを書きましょう。雑誌「男の隠れ家」で紹介されていたもう一人の超絶技巧派リストについて。

リストとの初めての出会いは、「超絶技巧練習曲」です。僕が高校生の時に鎌倉の市立図書館でこの練習曲の“超絶技巧”という名前を見て「超絶技巧って一体なんだろう?」と、LPを借りてテープにダビングし、はじめてリストを聴きました。今思うとあまりうまい演奏ではなく、誰の演奏だったかも忘れてしまったのですが、多感な時期に毎日通学の道すがら聴いていたので、リストにはとても影響を受けました。この超絶技巧練習曲は、最近ではブログにも書いた、小菅優さんの演奏のものが好きですね。またリストの「ピアノ協奏曲」も好きな曲の一つです。これは同じく高校生の時にショパンのピアノ協奏曲のLPが欲しくて買ったら、カップリングされていたのですが、思ったよりもいい曲でとても気に入りました。でも、普通の人からすると、リストというとやはり「愛の夢」とか、「ラ・カンパネッラ」なのではないでしょうか。

「ラ・カンパネッラ (la Campanella) 」はフランツ・リストが作曲した6曲から成る『パガニーニによる大練習曲』(Grandes Etudes de Paganini, S. 141) の第3番にあたります。最近コマーシャルでよく聞きますね。何台ものピアノが奏でる“ミミレ・ドドシ・ラソラシソ♪”

この曲はその名が示すとおりニコロ・パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調Op.7、第3楽章のロンド『ラ・カンパネッラ』を主題にリストが作り上げたのです。リストは20歳の時に、ニコロ・パガニーニの演奏を聴いて感銘を受け、自らもピアノでの超絶技巧を目指したといわれています。

ハンガリー人だったリストは、ピアニストとしては当時のアイドル的な人気を誇っていて、女性ファンの失神も続出した逸話が残っているのだそうです。しかも、どんな曲でも初見で弾きこなしたと言われ、超絶的な技巧を持つ当時最高のピアニストで「ピアノの魔術師」と呼ばれていたそうです。その技巧と音楽性から、ピアニストとして活躍した時代には、「指が6本あるのではないか」ということがまともに信じられていました。

この指が6本ある「多指症」は、実は1000人に2人の頻度で比較的多く起こる先天性疾患の一つです。僕も何度も見たことがありますし、実際に豊臣秀吉や、作家のサリンジャーなども6本指だったといわれています。フィクションの世界では、「羊たちの沈黙」の、あのハンニバル・レクター博士もそうでしたね。ただ、リストが多指症であったということは聞いたことがありません。やはり天才だったのでしょうね。

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2007年6月16日 (土)

カプリース

B_0707 アファームの講演で八重洲富士屋ホテルに行きました。早く着きすぎてしまったので、途中八重洲ブックセンターに立ち寄り「男の隠れ家」という雑誌を買ってみました。特集が「大人のためのクラシック」だったのです。

初心者にもわかりやすく、そしてクラシックファンも納得のクラシックの魅力をとてもよく取り込んでいて、買って満足。中でも面白かったのが超A級難易度の作曲家兼演奏家の特集です。このコーナーでは、ピアノではリスト、ヴァイオリンではパガニーニが挙げられていました。

ニコロ・パガニーニに至っては、その悪魔的な超絶技巧の演奏が、悪魔に魂を売ったとしか思えないといわれ、教会での埋葬を拒否されたという逸話が残っています。パガニーニのヴァイオリン音楽史上の金字塔ともいえる、「24のカプリース(奇想曲)」をお聴きになったことがありますか? 特に第一番はその時点までのほぼすべてのヴァイオリンの奏法が持ち込まれています。

パガニーニ:カプリース

買ったきっかけ:
15歳のときに演奏したパガニーニ最高難易度のバイオリン曲。

感想:
10度重音、一弓スタカート、二重トリル、左手のピチカートなど、ほぼ完璧な技術であっさりこの曲を弾きこなす五嶋みどりは本当に天才です。

おすすめポイント:
バイオリン好きは、一度は聴いてみたい名盤です。

パガニーニ:カプリース

アーティスト:五嶋みどり

31vw795pkfl__aa240_ などなど。僕も初めて聴いた時は、確かに神か悪魔の演奏と思いましたよ。二人で弾くことならできそう。そんな感じです。

超絶技巧の演奏ができるためには、もちろん手先が器用であるということが重要だと思いますが、これには手指が長い、手指が柔軟であることが不可欠です。

実はこういった二つの症状を同時にもつ病気があります。それはマルファン症候群という遺伝性の結合組織の病気なのです。マルファン症候群は、異常に長い肢が特に特徴ですがあとの症状をあげると高身長、上肢や下肢などの手足、指が細くて長い(クモ状指)、関節の過可動性といったところでしょうか。このパガニーニも、リストも、そして僕の好きなラフマニノフも、実はマルファンだったのではという推測があります。演奏家としては天与の才能になるのでしょうね。

このマルファン症候群、体中の結合組織が病気になってしまうので、大動脈かい離などの病気で命を落とすことが多かったようです。

ちなみにこのパガニーニの「カプリース」。お勧めのCDは、五嶋みどり演奏のものです。「男の隠れ家」でもこれが紹介されていました。彼女は見かけからしても、もちろんマルファン症候群ではないですが、この演奏、15歳の時にレコーディングしているのだそうです。天才ですね。

リストについてはまた次回書きます。

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2007年6月12日 (火)

星に願いを

Photo_16 10日前に作曲家でピアニストの羽田健太郎さんが亡くなりました。死因は肝細胞癌。58歳という若さだったそうです。

僕は羽田さんが司会を務めるテレビ朝日系列「題名のない音楽会21」が大好きで、毎週録画予約して必ず観ていました。「渡る世間は鬼ばかり」や「西部警察」などのテーマ曲を作曲したことでも知られる羽田さんは、音楽家としての腕や知識も秀逸なものがありながら、声や表情、ゲストを立てながらも締めるところは締める抜群のバランス感覚など、名番組の司会を務めるにぴったりの人だといつも思いながら観ていました。「シェルブールの雨傘」やガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」、フジコ・ヘミングが番組内で演奏したリストの「ラ・カンパネッラ」、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」などは、コンサートで聴いたことがなくとも、番組で聴くことで、まるでコンサートに行ったような感動を味わいました。

肝臓は「沈黙の臓器」と言われていて、多少おかしくなったとしても、初期には自覚症状はほとんどありません。予備力が非常に高い臓器なのです。肝臓の予備力が減って症状が出てくるときには、全身倦怠感や、食欲不振、黄疸、発熱などが起こります。肝細胞癌はウイルス性肝炎にかかっている人がほとんどなのですが、ウイルス性肝炎を持つ人が10年単位で肝硬変になり、そのうち数パーセントが肝細胞癌を発症するという経過をたどります。しかし、58歳は若すぎますね。

羽田健太郎さんは、アンコールでよく「星に願いを」を弾かれたそうです。星の上で安らかに眠られていることを祈っています。

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2007年6月 3日 (日)

上原彩子のラフマニノフ

レーザーの歴史シリーズの中で、ちょっと閑話休題で、音楽の話です。

上原彩子は2002年の第12回チャイコフスキー国際コンクールで、女性として、そして日本人として初めてピアノ部門の第1位に輝いたまさにクラシック会の天才です。 このコンクールでUeharatchaico 弾いたラフマニノフの”パガニーニの主題による狂詩曲”は、今まで聞いたCDの中で最も素晴らしい演奏で、スタジオではなく、コンクールの演奏と言うのが信じられないぐらいの演奏でした。何度も聞かせてもらいましたよ。

今日、横浜のみなとみらいホールでロシア・ナショナル管弦楽団とのカップリングで、ラフマニノフのピアノ協奏曲三番の演奏会があったので、ほぼ1年ぶりにコンサートに行って来ました。ラフマニノフのピアノ協奏曲三番は、僕が多分数千回ぐらい聞いている、最も好きなクラシックの曲の1つなのですが、技巧と表現力に長ける上原彩子さんのカップリングは本当に楽しみでした。

いやしかし、今回の演奏は、聴いていて涙が出るぐらい感動しました。なんというか、適切な言葉がまったく思い浮かばないのですが、彼女は日本の宝ですね。技術力を持った演奏家は今までにもいましたが、あの表現力は、視覚ではなくトリノで聴覚のみで、金メダルを取った荒川静香のスケートに匹敵するような、聴衆を引き込む吸引力を持っていました。皆さん本当にお勧めです。

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2007年5月18日 (金)

憧れのウィーン

011 オーストリアの首都、音楽の都ウィーンは一度訪問したい憧れの土地でした。 シェーンブルン宮殿などのハプスブルグ王朝にまつわる古い建物がある一方で、006

EADV(ヨーロッパ皮膚科泌尿器科学会)のような大きな医学学会のできる様な近代的なコンベンションセンターも新旧の街並みがあるのです。

018 今回は滞在が40時間とほとんど自由時間がなかったにも関わらず、どうしても訪問したかった樂友協会の大ホールに夜中に見学に行ってきました。

大ホールといっても別名ゴールデンホールという名前なのですが、このホールの名前に聞き覚えのある人はいませんか?

020そう。ウイーンフィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートを開催するあの場所なのです。テレビでご覧になったことがある方もいるかもしれません。年始にヨハンシュトラウス一家の作曲したワルツやポルカなどが演奏され、世界中に中継されるあのコンサート会場なのです。いちクラシックファンとして、思わずうれしくてにやついてしまいましたよ。日本では2002年の小沢征爾の指揮のものが有名だと思いますが、89年91年のカルロスクライバーの演奏も素晴らしかったです。僕は昔DVDを見つけた瞬間に購入してしまいました。

026

この日は観光客向けの小さな演奏会がありました。モーツアルトを中心に、ウイーンにゆかりのある曲を演奏してくれたのですが、最後の曲はお約束のラデッキー行進曲。もちろんニューイヤーコンサートをまねて、皆で手拍子しました。明日は早朝に空港に行き、日本に帰らなければなりません。

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2006年11月10日 (金)

小菅優のラフマニノフ

Cd_liszt そういえば、最近クラシックのコンサートにいっていないと思い、年末の第九でも探そうかと思っていて、ネットサーフィンしていたら、見つけてしまいました。

小菅優さんピアノのラフマニノフ、ピアノ協奏曲第二番の演奏会が11月7日に東京芸術劇場であったようなのです。これを聞き逃したのは痛いですよ。小菅優といえば、フランツ・リスト(1811-1886)の超絶技巧練習曲集をあっさりと弾きこなし2004年にCDを出した天才です。

彼女は1983年東京で生まれ、東京音楽大学付属音楽教室を経て、なんと10歳のときよりヨーロッパに在住して、多くの演奏会に参加しているのです。 現在ヨーロッパで、その高度なテクニックと美しい音色、深い楽曲理解と若き感性で最も注目を浴びている若手ピアニストの一人で、WEBの検索も ”小菅優” より ”YU KOSUGE”で検索したほうが多くひっかるのではないでしょうか。実は日本よりヨーロッパで有名なピアニストです。

僕も一昨年だったか、サントリーホールで彼女の演奏を聞き、すっかりファンになってしまったのです。彼女が僕の好きなラフマニノフのピアノ協奏曲を弾く機会があったら、絶対に聴きにいこうと思っていたんですよね。残念だなー。本当に悔しい。

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2006年11月 2日 (木)

絶対音感

J 「絶対音感」って、聞いたことがありますか? 少し前に売れた本なのですが、また最近読み返してみました。

何を隠そう、実は、僕も絶対音感の持ち主だと、言われたことがあります。幼少の頃からクラシック音楽に慣れ親しむ環境にいたことが良かったのでしょうか。

最近は楽器も弾かないのですが、昔数年間ピアノとフルートをやっていたことがあります。でも、いったん聴いた曲をすぐに覚えられ、耳コピーができる分、楽譜を読まなくなるんですよね。結局、楽譜を読めなくなって、やめてしまいました(苦笑)。

当時は救急車の音がシーレーシーレと聞こえたり、電子レンジのピーンという音が、半音上がったなと思っていたら、案の定、翌日壊れてしまったりしました。

絶対音感があると、“オーケストラを構成している楽器の音をそれぞれ口笛で吹け”なんていう指令があっても(そんな指令があることはありませんが)、簡単に出来るんですよ。それが20種類あったとしても、音の質さえ違えば楽々と聴き分けられます。カラオケで、二音階ずらして“はもって”歌うなんてことも容易く出来ちゃいますし、これは親に感謝せねば!   絶対音感があると、世の中便利なことの方が多い! と思っていたのです。

でも、実は先日、僕は“音楽”を“歌詞を聴きながら”聴けないということに気付いたのです。

思えば、高校生のときに友達に「この歌手の、この歌詞がいいんだよ」とLPを借りても、まったく良さが理解できませんでした。音階は追えるのだけれど、旋律を追っているとまったく歌詞が聞き取れないのです。逆に、歌詞を聴き取ろうと集中すると旋律が追えない。綺麗な旋律の曲はすぐに覚えるのですが、歌詞が英語だったときでも日本語だったときでもまったく一緒ですね。まったく記憶に残りません。これは意外と悲しい事実かもしれません。

絶対音感のある人と言うのは、厳密に7歳までにきちんとした音階のある音楽に触れなければならないと言われていますが、その時期までに音階に触れると、言語中枢と音感を感知しているところが同じ部位で働くようになるのでしょう。つまり、音楽か、または言語か、そのどちらかしか、聴き取れないようになってしまうようなのです。

これから忘年会の季節に向け、カラオケの新曲を開拓するのに四苦八苦しています(笑)。

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2006年10月 3日 (火)

悲運の天才青年ピアニスト

Fi1290_0e 今回の出張では、仕事以外の時間、ipodでよく音楽を聴いています。ヨーロッパではやはりクラシックがいいですね。気持ちもリラックスしますし、街や海にも良く似合います。

中でもよく聴いているのが、ディヌ・リパッティというピアニストです。


ディヌ・リパッティ(Dinu Lipatti, 1917年3月19日 - 1950年12月2日)は、ルーマニアのピアニストです。わずか33歳でこの世を去ったため、悲劇の夭折の天才ピアニストとして名が高いのです。決して 個性的な演奏ではないのですが、純粋に徹した、孤高なまでに洗練されているのです。死因は白血病の一種、ホジキン病という病気でした。


この夭逝の天才ピアニスト、リパッティが若き日のカラヤンと残したシューマンのピアノ協奏曲はまさに名盤です。この演奏は、いまから50年以上も前の古い録音であるにもかかわらず、いまだに、このロマン派ピアノ協奏曲を語る上で絶対に欠かすことのできない名盤の地位を守り続けている、不滅の演奏なのです。リパッティの演奏は、モノラルでしか残っていないのですが、惹きこまれてしまいます。

 
実は、この名盤を僕に教えてくれたのは、茨城県のひたちなか市で在宅診療を中心に開業医をしている先生(70歳ぐらいの開業医)でした。在宅診療は、畳の上で死ぬという、日本人として最も望む末期診療の一つだと思います。本当に痛みを感じている人は、病院の外来に来ることは出来ません。僕は彼のコンセプトに共感して、1999年ごろに、その先生のクリニックの在宅患者さんに、ペインクリニックの在宅診療を行っていたのです。患者さんのお宅に伺って、ペインコントロールをして帰る。期間でいったら、3年ぐらいでしたか。


僕も、医者としてとてもよい体験をさせて頂きましたが、クラシック音楽に対しても、多くの知識を持っていて、いろいろ教えてもらいました。今でもお元気なのでしょうか?

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2006年6月19日 (月)

74分の永遠

Fi868_0e 50インチのプラズマテレビを買ってから、クラシックのDVDを楽しむ機会が増えました。自分のオーディオとDVDを継いで音楽を聴くと、結構な迫力なのですよ。自宅で十分、迫力のコンサートを楽しめます。


最近買ったDVDにカラヤンのものがあります。


カラヤン/ベートーヴェン:交響曲第7番&第8番&第9番
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S) クリスタ・ルートヴィヒ(A) ジェス・トーマス(T) ヴァルター・ベリー(BS)

こいつはお買い得でした。


1968年から1971年までの演奏を録音したものですが、映像の処理が本当にかっこいいのです。目を瞑ったカラヤンが一心にタクトを振る姿。聴くもの観る者、すべてを引き込みます。

晩年には、彼も目を開けてタクトを振るスタイルに変えたそうですけど、一度この演奏を生で見たかった・・・と思っていた僕にとって、このDVDはその気分をかなり味合わせてくれました。


カラヤンは最も古くから、映像の持つ魅力を熟知し、それを最大限に生かした指揮者であると思います。曲の盛り上がる場所ではそれまでカラーだった映像を白黒にするとか、本当に凝った映像なのです。


ところで、CDの録音時間が何故74分になったのか、知っていますか?


最初はフィリップスとソニーが60分のCDを考えていたのですが、

「60分じゃ、ベートーベンの第九が一枚で入らないじゃないか!!」

・・・と言ったカラヤンの言葉がきっかけなのです。これもトリビアになるかな?


でも、かく言うカラヤンは、早い演奏が好きなため、第九の演奏に74分使ったことはないのですけれどね。(笑)

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2006年6月 1日 (木)

若き天才 ホロヴィッツに挑む

Fi809_0e 先週の日曜日、サントリーホールで行われたコンサートに行ってきました。ウラディーミル・フェドセーエフ指揮 チャイコフスキー記念モスクワ放送交響楽団 が来日したのです。定期購読している ”大人のための知的好奇心マガジン” ACT4で、その情報を年明けに知り、中の一日に僕が大好きな曲目ばかりの日があったので、ずっとこの日が来るのを楽しみにしていたのです。

この演奏会の曲目は、

ラフマニノフ :ピアノ協奏曲第3番 ニ短調
チャイコフスキー :弦楽セレナーデ ハ長調 op.48
祝典序曲『1812年』 op.49

こうした曲目を一度に聴けるコンサート自体が珍しい。

僕はこのブログでも何度も書いてますが、大のクラシック・ファンで、コンサートにはけっこう行っているほうだと思います。何人もの名演奏家、名指揮者を実際に見て感動を積み重ねてきました。でもその中でも今回はすごかった・・・!! こんなコンサートは聴いたことがない! 

特にラフマニノフの3番はあまりにショッキングでした。数あるクラシックの名曲の中でも超難度な演奏を要求される3番を、あのホロビッツと同じ速度であっさりと演奏出来る人間がいたとは…。彼が鍵盤に手を置いた瞬間から瞳孔が開き、席から身を乗り出し、鳥肌が粟のようにたち、茫然自失として、終わって一瞬自分が聴いたものが一体なんだったのか理解できなかった・・・。帰宅してこの体験をブログに書こうと思っても、まともな文章にしばらくできなかったのです。こんなことはじめての経験でした。


ピアノを演奏したのは、今年31歳のデニス・マツーエフ。1975年ロシア生まれで、第11回チャイコフスキー国際コンクール優勝したキャリアを持っています。まさに超のつく技巧派です。うまい、本当に天才的にうまいのですが、技巧に走りすぎて他との協調を図れない。名門モスクワ放送交響楽団が完全に置いていかれていましたからね。あれは、協奏曲ではないですよ。個人プレイに走りすぎている。「俺はここまで弾けるんだ! これについてこれるか?」と彼の自信が客席まで響いてくるようでした。


曲間の休憩時間中に販売していたロシア版のCDの題名を見て、また驚きました。アルバムのタイトルが”Tribute to Horowitz (ホロビッツへの挑戦状)”ですよ。彼にとっては母国の大先輩、しかも世界のクラシックファンで名前を知らない人はいない、まさにピアノの神様のようなホロビッツに対するトリビュートを、この31歳の若者が出すとは…。


彼のCDを二枚買って家で聴いてみると、確かのその演奏は、まさにホロヴィッツ、リヒテルらロシア・ピアニズムの伝統を受け継ぐものした。「挑戦状」を出したくなる気持ちもわかるような気がしました。


何十年に一度現れるかどうかわからない稀代の、そして、孤高の天才です。でも今の彼にオーケストラはいらない。これでは、オケもたまらないでしょう。


ピアノの技巧は完成している彼ですから、その彼がいつか社会的にも、あるいはプライベートでも幾多の悩みや様々な壁を乗り越えて、人としての円熟味を増し、そして将来、そんな彼を理解し、受け入れ、彼の演奏をうまく引き出しながらも、協奏曲としての深みを与えられる交響楽団と指揮者があれば、それは本当の意味で史上最高のコンサートが実現するかもしれませんね。


そのときには、演奏する場所がどこであっても、何を置いてでも駆けつけたい。そう心から願っています。

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2006年5月 9日 (火)

椿姫

 
Fi737_0e 日曜日の夜に教育テレビで2005年8月 ザルツブルク音楽祭のハイライトを3時間半に渡って放送していました。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、指揮:カルロ・リッツィで、ヴェルディの歌劇の椿姫の演奏でした。


 偶然テレビをつけたら椿姫の有名なフレーズが流れてきたのでついつい12時過ぎの終了時間まで観てしまったのです。舞台演出もすばらしく、カメラワークも良かったため、飽きずにテレビでオペラを見ることが出来ました。

しかし、主役のパリ高級娼婦のヴィオレッタ役のアンナ・ネトレプコは本当にすごいソプラノ歌手ですね。数十年に一度の逸材です。息を呑むヴィルトゥオジティ(超人的な技巧)とはこのことです。21世紀のマリア・カラスという評価もありました。


6月17日にモーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」のために来日するようなのでチケットを調べたのですが、なんとS席60000円。いやー、僕には買えん。もうちょっと何とかならんのですかね。


ちなみにその夜は興奮してあまり眠れず、月曜日は思いっきり寝坊して遅刻しそうになりました。

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2006年5月 7日 (日)

ホロビッツ

Fi729_0e 今日はクリニックも休みにしました。久しぶりに好きな音楽を聴きながらゆっくりとすごそうとおもっていたところ、ラフマニノフのCDを自然に選んでいました。

ラフマニノフは僕が一番好きな作曲家です。ピアノ協奏曲の第二番とか、交響曲の第二番、ヴォガリーズ、そしてパガニーニの主題による狂詩曲。何度聴いたか分かりません。テレビのコマーシャルや、映画にも使われましたので、曲名を知らなくても、聴いたことのある人は多いんじゃないでしょうか。

各々お気に入りの演奏家と指揮者のカップリングがあるのですが、ラフのピアノ協奏曲三番はダントツでホロビッツです。ホロビッツは過去三回録音していますが、1951年に録音されたものが本当に秀逸です。モノラルなのが残念ですが、一度聴いたら忘れられないでしょう。

ラフマニノフは作曲家でもありますが、同時にピアニストでもありました。しかし、自分の作曲した曲をホロビッツの演奏で生で聴いたラフマニノフは、それ以降、自分の曲は演奏しなくなったと聞いています。圧倒的な技術の差を感じたのでしょう。

あんな早いペースでラフのピアノ協奏曲三番を弾ける人は再び現われないと思いますよ。でも、もしかしたら、リストの超絶技巧練習曲を19歳であっさりと弾きこなした小菅優さんとか、いつかラフマニノフを弾いてくれるかも知れませんね。そうなったら嬉しいです。女性だからラフマニノフを弾くにはちょっと指が短いかな?でも、彼女はいわば、インディゴチルドレンなのでしょうね。

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2006年4月24日 (月)

モーツァルト作曲 「皇帝ティトの慈悲」

Fi702_0e

昨日の午後は、仕事をしばし忘れ電車を乗り継いで久しぶりにオペラに行ってきました。東京芸術大学の声楽科を卒業した友人が、オペラデビューしたのを招待してもらい、新国立劇場に聴きに行ってきたのです。


演題はモーツァルト作曲の「皇帝ティトの慈悲」。彼女はその準主役ともいえるセストの役です。

Fi702_1e 彼女はメゾソプラノ、名前は谷口 睦美(たにぐち むつみ)さんと言います。いいコンサートがあったら一緒に行ったりとか、いい録音のアルバムがあったら紹介するといった、クラシック友達です。

かれこれ、4年以上の付き合いになりますが、彼女はなぜか僕のことを“兄上”と呼んでくれます。そうだからというわけではなかったのですが、今日は僕にとっては、いわば、実の妹のオペラデビューのようなものだったのです。

舞台に最初に出てきたときはまさにドキドキものでした。難しいフレーズを歌うときは音程をはずさないかななんて余計な心配をしたりして。でもすべてが杞憂でした。皆にお勧めしたいぐらい、すばらしい声質と演技力でした。日本オペラ界期待の新人といっていいのではないでしょうか?


”皇帝ティトの慈悲”は演出で主役のティトが客席に来たりして、本当に楽しいオペラでした。楽屋にカサブランカの花束を贈りに行った帰り道、演出助手のヴォルフガング・ビュッカーともばったり会ってすこし話ができたことも嬉しかった。ハッピーな週末となりました。

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2006年4月 9日 (日)

昼休みのボストン交響楽団

Fi658_0e 実は学会会場のまさに隣にボストン交響楽団の会場があることに気づきました。公演時間を調べたらなんと昼の1時から2時間の演奏会があります。昼食を抜けば、休み時間にいけるじゃないか!!

ということで昼に演奏会を聴きに行きました。

Fi658_1e ボストン交響楽団は、小沢征爾がタクトを振ったことで、日本人にはなじみがあります。1度演奏を聴きたかったのですが、なんとも奇遇です。

Fi658_2e 演奏会の内容は、アマデウス=モーツアルトの生誕250周年を記念したもので、セレナーデの6番、交響曲の39番と、バイオリン協奏曲の5番でした。本当に素晴らしい演奏で、感激してしまいました。弦楽器の響きが本当に素晴らしかったです。おそらくストラヴィバリウスとかの名器もそろっているのでしょう。

パンフレットの最後に寄付の欄があったのですが、楽団に2億円以上寄付している人が三人もいました。こういった好意によって楽団が続けられるのでしょう。ちなみに僕が買ったチケットはたった44ドルでした。日本では信じられません。

Fi658_3e 会場から出てきたところです。なんだか幸せな気持ちでニコニコでした。
やっぱり音楽はいいですね。でも、このあとすぐに歩いて5分の学会会場に戻りました。

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2006年3月25日 (土)

医者の心とワーグナー

Fi564_0e 自費診療のクリニックをやっていると、気にしないようにしようと思いながらも売り上げが気になってしまうものです。一台でフェラーリが買えてしまうようなレーザー機器を何台も揃えないとやっていけないこうしたクリニックは、初期投資や毎月のリース料もタイヘンですから、つい「今月大丈夫かなあ・・」と不安になるのでしょう。そして売り上げを気にする自分を客観的に見て、時々ですが、「医者として俺がやるべきことはこれでいいのだろうか・・・」と漠とした不安にかられます。医療と経営は二律背反なのですね。


 僕はクラシック音楽が大好きですが、こういう不安なときに遠ざかってしまうのがワーグナーです。ワーグナーの音楽は、男としての自信に満ち溢れ、それをさらに後押しするような曲ばかりですからね。ヒトラーがワーグナーを好んだのは有名な話ですが、TVドラマ「白い巨塔」でも、財前吾郎がワーグナーを口ずさんでいました。彼にあの曲を当てはめたディレクターさんはすごいな、と思ったことを覚えています。彼の性格とぴったりはまっていました。


 ちなみに、ドライブ中に聞く音楽でもっとも危険な曲は、ワーグナーの『ワルキューレの騎行』であるという調査結果が、イギリスかどこかの調査期間で出されたことがあります。確かあのような早いビートの曲を大音量で聴くと、ドライバーの危険回避の動作が約20%遅れるとか。


 でも、今日は久しぶりに20号線を走る車内でワーグナーを聴きました。1ヶ月に2度の、痛みの治療をしている在宅医療の日だったのです。寝たきりの患者さんで僕を毎月待ってくれる人が何人かいて、大学病院にいた時からもう10年ほど、こうした方々のお宅に伺って診療をしています。医者として患者さんに必要とされていることを肌で感じ、僕が医者としての自分の仕事に確信と自信を持てる時間。 これだけは、ずっと続けていきたいと思う仕事のひとつです。

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2006年3月11日 (土)

リヒテル

Fi731_0e いつか書いただろうと思っていて、今確認したら、この名盤の紹介を忘れていました。実はラフマニノフとチャイコフスキーのピアノ協奏曲で、とっておきの演奏があります。もしも無人島に1枚だけCDもっていけるといわれたら、僕はこれをもっていくかもしれません。(笑)


ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番
演奏: リヒテル(スヴャトスラフ), ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 ヴィスロツキ(スタニスラフ)

チャイコフスキー ピアノ協奏曲 第1番
演奏: リヒテル(スヴャトスラフ), ウィーン交響楽団
指揮 カラヤン(ヘルベルト・フォン)


このカップリングのCDなのです。


ラフのピアノ協奏曲の第二番も、高校生のときに初めてアシュケナージ盤を聴いたときその旋律の美しさに衝撃を受けました。スケートの村主選手もこの曲を使っていましたよね。以後、様々な演奏家のものを集めているのですが、いまだにこのCDの演奏を超えたものは自分の中ではありません。第2楽章から第3楽章への曲の盛り上がり方が普通じゃないのです。会場を含めて、そこに居合わせた人全員を違う世界に持ってゆくような。指揮のヴィスロツキが女房役として上手く演奏を一歩ひいてサポートに徹し、リヒテルの持ち味を引き出しているんですよね。

 
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番は、中学生のときに親父が持っていたエミール・ギレリス演奏ののLPを擦り切れるまで聴いてしまった経験があります。覚えていませんが、多分僕がクラシックにはまるきっかけになった曲です。第1楽章の曲の美しいことといったら。最近聞いていないですが、これ、今でも全曲口笛で吹けますよ。(笑)


リヒテルは持ち味というか色が濃く、指揮者と潰しあってしまうこともあるのですが、同じように色濃いカラヤンとともに、ピアノと指揮で、まさに協奏曲ならず競争曲を演奏しています。


クラシックのCDは廃盤になってしまうことが多く、買える時に買わないと手に入りにくくなるのですが、これはさっきアマゾンで確認したら在庫がありました。割引が効いて、送料込みでたった1620円です。信じられない。本当に良い時代ですよね。

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2006年2月10日 (金)

グレン・グールド

Fi432_0e ピアノのクラシック曲が好きで、多くのピアニストを聴いてきました。中でも特別お気に入りは、ディヌ・リパッティとグレン・グールドです。リパッティはステレオ録音がまったく残っていないので、その技巧の素晴らしさは想像つかないのですが、グレン・グールドは80年代まで健在だったこともあり、多くのCDや著作を残してくれています。

グールドの母は旧姓をグリーグといい、母方の曽祖父のいとこが高名なノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグであったといいます。音楽家の血が流れているのですね。彼はかなりの変人で、演奏会に気に入ったピアノを持ち込ませるのは当たり前で、ピアノを弾くときのいすの高さにこだわって、いすの足を切らせてみたり、それで膝が邪魔になると、ピアノ自体を台をつけて持ち上げさせたり、ステージが始まる前に、儀式のように腕から先を温水につけたり、主催者にはいろいろな要求をしました。当時でもかなりの実績を持つピアニストであったにも関わらず、32歳の時に、ステージから一切身を引き、限られた人間としか接触しなくなります。その後は1982年に50歳で他界するその二日前まで演奏活動を行い、スタジオでのレコーディングに徹しました。

 音色が美しいピアニストならば、アラウやルプー。音色が真実なるピアニストならリヒテルやペトリが挙げられるとおもいますが、グールドは、技巧が優れている点ではリパッティやホロビッツに匹敵しますが、音色をそぎ落とし、音楽の骨格をむき出しにしたような、なんともいえない音色でピアノを奏でるのです。いわばわざわざ反ピアノ的な演奏をして、ピアノにそぐわないような音色を偏愛するのです。グールドの研究家でもあるフランスの精神分析学者ミシェル・シュネデールは、グールドの音楽に対する姿勢は神を知るための行為であったと表現していたのを思い出します。確かにグールドの演奏は神秘的なところがあります。装飾を一切省いた、はっきりと区切りがある、点描的な演奏とでも言うべきでしょうか。

初めて彼を聴いたのは、バッハの『インヴェンションとシンフォニア』でした。なぜこんなにも難しく(哲学的に?)バッハを弾くのだろうと思いました。なんと言ったらよいのか、普通なら速い速度で弾かれる部分を半分以下のスピードで弾いたり、その逆をわざとやったりするのです。クラシックの場合、新規性を求めて演奏をすると、品位が失われてしまうこともありますが、彼は非常にうまく作曲家の意図を演奏の中で中和させているのです。

Fi432_1e ゴールドベルク変奏曲も二回、録音していますが、聞き比べてみると、まったく曲が違って聴こえます。常に感性が変化しているのでしょう。平均律クラヴィーアも何百回も聴いたと思います。そうそう、平均律クラヴィーアで思い出すのはバグダットカフェという映画です。だいぶ前に観たのですが、なんの特徴も変哲もない、ある小太りのおばさんが寂れた街のカフェにやってきて、そのカフェをとても人気のカフェに変えてゆくのです。その映画のストーリーとはまったく関係のない挿入なのですが、ある黒人の男の子が、母親に怒られながら、バッハの平均律クラヴィーアを弾くのです。そう、アヴェマリアの歌詞もついている、ドミソドミソドミの曲です。最初は物凄く下手で、聴くのもつらいのですが、何回かこの子のシーンが挿入されるたびに腕が上達していきます。他にもストーリーと関係のない挿入があって、そのおばさんに好意を持つ絵描きのおじさんが、おばさんをモデルに絵を描き始めます。おばさんは最初は緊張した顔をしているのですが、シーンの挿入ごとに次第に心開いて、最後はヌードを描かせるまでになるのです。ストーリーは、ほとんどないのですが映像と音楽だけが鮮明に印象に残る、とても不思議な映画でした。

グールドはバッハを好んだため(おそらくバッハの対位法的精神が彼の相に合ったのでし Fi432_2e ょう。)あまりにバッハのイメージが強いのですが、ベートーヴェンやモーツアルトのピアノ協奏曲、ブラームスのピアノ曲も得意でした。コンサートは絶対に開かなかったのですが、ラジオ、テレビ出演の演奏も多かったため、多くの演奏が残っています。CDのジャケットでは彼の端正な顔が見られます。カナダのトロントには彼のお墓があります。僕も8年ぐらい前にトロントに行ったときに彼のお墓を探してみたのですが、残念ながら見つけられませんでした。いつか訪れてみたいと思います。

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2006年1月 8日 (日)

論文を書くときに聴く音楽

今まで学位申請論文として、医学博士論文(東京大学大学院)と経営学修士論文(MBA)(英Wales大学経営大学院)の二つの長い論文を書いた経験があります。どちらの論文も集中して数ヶ月に渡って書きましたが、理系と文系の論文は、全くアプローチが違います。 

Fi280_1e 理系の自然科学の論文は、ある全く新しい研究データが揃ったときに書きますので、その実験データがいかに正しいかを説明し、その臨床的利用を考察するだけでよいのです。なぜその実験を始めたのかの序章、材料ならびに方法の説明、実験の結果、実験結果から導かれる考察、最後に結語と、決まりきった構成で文章がかかれます。研究論文では基礎実験がほとんどの時間を占めます。医学の基礎実験はおそらく結果が出るであろう、約20の実験系のプロトコールを想定して地道な実験を行います。そのうち1つでも当たればもうけもので、絶対的に正しいというデータを揃えて、新しい論文の準備が出来ます。

ところが文系の社会科学の論文を書いてみると、全くアプローチが違います。ある理論を構築しそれが正しいと言えるように構成を作り上げるのですが、その理論が絶対的に正しいという保障は全くないのです。当たり前ですよね。ですから論理を構築するときに過去の論文を漁って、過去の論文を軸に、自分の理論の構築をしてゆくのです。文章は序章、本論、結びつまり、起承結の3部構成で書けばよいということになります。全く違う論理展開を使いますので、二通りのよい経験が出来たと思っています。

現在では脳内のグルコースの代謝というものを、[18F] フルオローデオキシグルコーズ (fluorodeoxyglucose) を用いたポジトロン放射断層撮影(PET)によって測定することが出来ます。このPETを使用して、同一人物が英語を話しているときと、日本語を話しているときの脳内の働きを観察したデータを見たことがあるのですが、面白いことに、全く違う部位が働いているのです。僕も時には英語の論文を書く機会があるのですが、面白いのですが、英語の論文は最初から英語で書いた方が書きやすいのです。以前に自分が英語で書いた論文を、日本語訳したことがあるのですが、これがまた大変な作業でした。思考回路が英語と日本語では全く違うのを体感した次第でした。

閑話休題

わき道にそれましたが、標記の話です。以前から勉強中に音楽を聴くという"ながら"勉強が好きだったのですが、文章を読んでいるときに集中力を上げるためには、「音楽には歌詞がない方が良い。」「クラシックのしかも、バロックといった抑揚がないものが良い。」というのは経験的に分かっていました。ところが、あるCDを見つけてしまったのです。僕が論文を書くときに集中力を上げるために必ずリピートで流しっぱなしにして聴くのですが、このブログを読んでいる方に特別にご紹介します。

アイザックスターン(ヴァイオリン)&ユージンイストミン(ピアノ)83年録音の、べートーヴェン作曲、ヴァイオリンソナタ第五番「スプリング」と第九番「クロイツェル」の二曲が入ったCDです。もともとスプリングとクロイツェルはベートーヴェンのヴァイオリンソナタを代表する曲ですが、この演奏には、二人の演奏が全く危なげがないというか、非常に端々としていて、曲に聴き込んでしまうということがないのです。お勧めです。但し、二曲を聴くためにCDをかける時は、ハイフェッツなどの他のヴァイオリニストの演奏の方が、抑揚があって、断然いい。面白いですね。

 ちなみに論文を書くときにはハーブティがカフェインがなくて良いです。脳は、炭水化物、脂肪、糖質の三大栄養素の中で、糖質しか使うことができません。ですから甘いハチミツなどを入れると脳の集中力が高まります。

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