経営学

2007年8月 5日 (日)

第二回 大学・総合病院における光治療セミナー

Photo 今日はグランキューブ大阪 国際会議場というところで、表記の株式会社JMEC主催のセミナーの招待講演に呼んで頂き、大阪に日帰りで行ってきました。

座長は関西医科大学 皮膚科学教室教授の岡本祐之先生でした。僕は前回もお世話になった駒澤大学経営学経営学教授の山田先生とともに、「美容診療経営の実際」と言う演題を話す事になりました。

超高齢化時代の幕開けをむかえて、日本の医療は大きく変貌しつつあります。最も大きな要因は、医療費負担増に対する厚生労働省の医療費削減の基本方針なのですが、この5年間の医療費低減率はなんと約6%。山田先生の試算によると、一般には価格が1%下落すると、営業利益は11%低下することになり、6%の低下は、保険診療体制に、壊滅的な打撃を与えるという事になります。由々しき問題ですね。

これを見越して、自由診療に活路を見い出そうとする医師がどんどん増えていることは皆さん御存知のとおりです。しかしその自由診療とは、従来の医療と全く相反する世界観によって成り立っていることを、実際にその現場に立って初めて知ることになるわけです。

数年前には医師が“経営”などと言う言葉を使用すると、“金儲けを考えている医者だ。医療で金儲けを考えるなんてけしからん”と揶揄されたものですが、時代が変わった今、経営学を知らない医師は先々生き残ってはいけない、と言われるようになりました。

まだまだ若輩者の僕の立場でどこまで説得力のある話ができたかはわかりませんが、自分がここまで自分なりに苦労し悩んだ病院経営の話を踏まえ、いくつかの提案をさせていただきました。

家に帰ってきたのは夜11時前。さすがにくたくたになりながらもパソコンを開いてみると、今日名刺交換をさせていただいたドクターからのメールが来ていて、嬉しくなりました。

こういうことで

「また次に呼んでいただいた時には、がんばろう」

と思うんですよね。

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2007年7月 8日 (日)

最高の医者とは

Photo_19  今日は表参道で皮膚科・形成外科の開業医に向けたセミナーがありました。僕は講師の一人として呼んで頂き、自分の専門のレーザーとはすこし違った「メソセラピー」という学問の話をしてきたのですが、自分の出番がないときは他のドクターのお話を聞くことができてとても有意義な一日を過ごすことができました。中でも最後の演者 駒澤大学大学院 経営学研究科の山田勝教授のお話には非常に感銘を受けました。

山田先生がおっしゃったことの中でも特に心に残ったお話があります。それは、

「患者さんは世界一のお医者さんに診てもらいたいわけではない。自分のことを一番良く知るドクター、そして自分が一番良く知るドクターに診てもらいたいのです。」

という言葉です。

我々医師は、とかく医学と言う学問や、医療技術をとことん追求してしまうものです。つまりその分野を追求することが自分にとっても患者さんにとっても一番のことである、という「幻想」があり、世界一「優秀な」医者になることが立派なことである、と思いがちです。優秀な医師であることが患者さんにとって一番のメリットだと考えてしまうのです。

医療従事者にとっての「医療」の定義は、「患者さんに対する最新医療技術の応用」と言うことになるのだと思います。

でも、一人ひとりの患者さんにとっては、優秀であることが必ずしもその患者さんにとって最高の医師ではない、全く違うことがあるのだということを山田先生はおっしゃったわけです。もっと、人的な、感情のつながりや信頼関係を大切に考えて、この人だったら任せられるといったところから医師の選択が、そして診療がスタートするのである、と。

僕はこの話を聞いて、最近こういった人的なつながりがないがしろにされてしまうところから、医療に対する不信感が生まれてしまったのだろうなぁ・・・と思いました。

クリニックFのコンセプトは、アカデミズムに基いた、美容皮膚科領域における「最高のホスピタリティの提供」です。医療現場におけるホスピタリティとは突き詰めて考えると、豪奢な設備でもなければ、かしこまりすぎた接客でもないと僕自身は思っています。一歩足を踏み入れた瞬間「ウェルカム」という空気が流れ、適度にリラックスでき、親しみの湧くような誂(あつら)えがある。顧客の方一人ひとりのニーズに対して、適切な情報に基き最も合致した、世界最新施術を出来ること。山田先生のお話を聞いて、この軸をぶらさず、人とのつながりを大切にしながら、自分自身の専門であるレーザーという分野を追求していきたいと決意を新たにしました。

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2006年9月29日 (金)

医者が苦手なお金の話

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最近立て続けに友人の医者から、独立したいので経営を見てくれないかという依頼が来ました。


たしかに、お医者さんは経営が苦手です。事業計画書やキャッシュフローを作るなんてもってのほか。これは医学の世界にどっぷり漬かった人であればそういう人であるほど、そういった傾向があります。


知的好奇心を満たすということは、人間の本能だと思いますが、人間の好奇心は最終的には宇宙か、自然か、人体に向かうものではないかと思っています。好奇心の旺盛な人間にとっては、医学の勉強は学生のときに寝ずに教科書を読んでしまったりするほど、本当に面白いのです。なぜ風邪を引くの?とか、どうやって骨折の骨が治ってゆくのか?どうして人は老化するのか?


そういった答を見つけるためのヒントが教科書に書いてあります。こういった疑問を答えるために、いわば医学の共通言語を学び、将来の研究に役立てるのが医学の道です。


でも、すばらしい医療技術を持っている人が、経営が上手いとは限りません。保険診療費が今年も下がり、7割の病院や診療所が赤字であるという現状で、落ち着いて仕事に打ち込める状態を作るのは、非常に難しいことだと思います。病院の維持さえ難しいのですから。


現在の保険診療のクリニックを救う1つのアイテムが、自費診療で行える、アンチエイジング医療だと思っています。この医療が学問になり、さらに市場になるのは少し時間がかかるかもしれませんが、本物の医療としての確立を目指して、我々医者が日々努力しなければならないモノだと思います。

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2006年9月25日 (月)

第7回トータルアンチエイジングセミナー NO,1

Fi1281_0e 第7回トータルアンチエイジングセミナーが新宿の京王プラザホテルで行われました。この学会は日本で最も大きなレーザー輸入業者であるJMECの主催で毎年行われるものです。昨年の8月に行われた、第六回トータルアンチエイジングセミナーに引き続き、今年も招待講演を依頼されました。毎年行われるこのセミナーで僕は今年が四回目の招待講演になります。こういったチャンスを与えて頂いていることは、大変ありがたいことだと思います。


今年は、会場には350名の医者が集まったそうで、毎年の成長に驚くとともに、アンチエイジング医療への関心の深さに驚きます。会場の後から見ると、実は大きなスライドがこんなに小さく見えます。

Fi1281_1e 今年のこのセミナーで面白いと思ったのは、三部構成からなるこの学会の真ん中に、「クリニックマネジメントの実際」という部が新設されたことです。駒澤大学大学院経営学研究科の山田勝教授が座長をされました。


今までこうした学会で、クリニックマネジメントについての講演の場があったことはありませんでした。数日前のブログにも書きましたが、ちょっと前には、医療の分野では、「金儲け」を連想させてしまうために、「経営」という言葉を使うことは考えられませんでした。しかしながら、今の医療機関には、CTやMRI、SPECTに多種多様にわたるレーザー機器といった数千万から数億の高額機器を導入しなければ、最先端の医療技術を患者さんに提供できなくなりました。医療の世界でも、経営の重要性が増してきたといえるのです。

Fi1281_2e 僕はこの部で発表した5人の先生の最後に「戦略的アンチエイジング医療経営」の講演をしたのです。


僕は今まで、4つのクリニックの開設と経営に関わってきました。経営に関わるうちに、経営学をきちんと学ばなくてはと思い、経営大学院に行ったのですが、ここで得た経営学の知識は貴重でした。


医学も科学ですが、経営も科学なのです。


現在、Anti Aging Doctors 株式会社という会社の”医師免許を持った医療経営コンサルタント”業をやっているわけですが、そうした活動の場を与えてもらっているもの、経営学を学んだ実績のおかげです。

Fi1281_3e そのままを医療の分野に適応するわけにはいきませんが、経営学の知識を持ったことにより、多くの経営分析の道具を持ったことは重要な体験でした。


何よもためになったのは、コーポレートファイナンスの知識です。純資産法やDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法などの計算法により、クリニックの現在価値を把握することが出来るのです。経営をする上では、クリニックの現在価値を上げてゆく努力をしていく作業が極めて大切なのです。

Fi1281_4e ですから、今回の講演では、MBAホルダーとして、経営学という学問が、どんな経営ツールを学ぶのか、限られた時間の中で、説明してみました。経営戦略の部分では、マイケルポーターの3つの基本戦略について述べました。


差別化戦略 (立地、豊富なレーザの種類と知識、ホスピタリティで競争相手よりも優位に立つ)


コスト・リーダーシップ戦略 (業界全体の広い市場をターゲットにどこよりも安いコストで評判をとり、競争に勝つ)


集中戦略 (特定市場に的を絞り、ヒト、モノ、カネなどの資源を集中的に投入して競争優位に立つ)


この基本戦略にそって、経営をしてゆくことは大切ですが、中でもコストリーダーシップ戦略については、”価格破壊”をしてはいけないと主張したつもりです。価格破壊をスローガンにした流通業界がどのような結末をおくったかは記憶に新しいですが、今私達はアンチエイジングというブルーオーションの新たな市場を作り上げているところなのです。この分野できちんとしたレベルの医療が提供できるまで、価格破壊をしてはいけないと思います。確かな市場が作られる前に、市場が崩壊してしまうこととなり、最終的に消費者である患者さんに、新しいサービスが提供できなくなります。

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第7回トータルアンチエイジングセミナー NO,2

Fi1282_0e そして、次にはマーケティングの話しをしました。


何かが満たされない状態を Needs といい
それを満たす特定のものを Wants というわけですが、
マーケティングとは、Wantsを満たす活動なのです。


古きよき時代は、いわば「作れば売れる」時代でしたので、「作ったものを売る」ことに専念すればよかったのですが、
 

現在は、どの様な産業にも競争激化、売上げ減少、成長鈍化が起こっています。こういった市場の中では、”マーケティング”が必要だというわけです。


この次のスライドでは、フィリップコトラーの著作から、マーケティングの基本的概念の説明をしました。つまり、環境の分析からセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、マーケティングミックスのいわば定石の説明です。これも普通の医師にはなじみのうすいものなのです。

Fi1282_1e 次の論点は、保険と自費の両立です。


保険診療はいわば、エコノミークラス。美容やアンチエイジング診療と行う自費診療はビジネスクラスの対応が必要なのです。


ビジネスクラスでは、

保険よりも 1ランク上のおもてなしムードで
待合スペースを分けてそちらへ通す
お待たせしない (スタッフがつなぐ)
レーザーや光治療だけでなく、スキンケア・プログラムを施術に加える 
 (枠いっぱい時間を使う)
先生やスタッフが出来るだけ話をする
携帯にメールを送る
常にビジネスクラスの笑顔で

の対応が必要です。

Fi1282_2e そして、ビジネスクラスのサービスを提供するためには、Treatment と Hospitalityを学ぶことが必要となります。これは、我々がレストランや、美容院を選ぶときと全く同じだと思います。


最新治療技術を学ぶために 

学会、セミナー、教科書
 メーカーの臨床担当者
 大学等の教育機関
 お知り合いの先生

ホスピタリティを学ぶために

教科書
 お知り合いのクリニック見学
 レストランやホテル
 コンサル会社のセミナー

などを使うのがよいと思います。

Fi1282_3e 集客のノウハウについては、WEB戦略とBLOG戦略について話しました。


美容皮膚科の分野では、デザイン性や院内の設備、そのクリニック及び院長の哲学、イメージ・・・というものが重視される。


ネット全盛の時代にあっても、美容皮膚科の場合は雑誌やTVでの露出に人気が左右される場合も依然多い。 雑誌やTVでそのクリニックを知った患者さん、あるいはそのクリニックは知らなくともレーザー機器や有効な施術法を知った患者さんが、そのキーワードを元に検索をかける。


いわば美容皮膚科の場合、WEBがまずありきではなく、口コミやマスメディアによる情報がまず先にあって、そこからWEBに検索をかける方が多いのです。

Fi1282_4e もう1つ、アカウンティングの話しをしました。


クリニックを経営するためには、外部報告向けの正確な実績を示すための財務会計(賃貸対照表 (B/S) 損益計算書 (P/L))と、将来の経営活動に活かす内部活用向けの管理会計(財務分析 損益分岐点分析 予算管理)があるわけです。


財務会計は、会計士さんや、税理士さんがやってくれますが、実は本当に大切なのは管理会計なのです。


そして、管理会計を把握するのに最も大切なのは、キャッシュフロー計算書です。 


フリーキャッシュフロー=営業利益×(1-法人税率) + 減価償却費 


と表わすことが出来ますが、フリーキャッシュフローは実物資産の増減に主観性が入る余地がなく、BS、PLと違って利益操作できないのです。


クレジットカードの売掛けや、保険診療の入金が遅れることを考慮する。さらに、減価償却費は、二年目以降の見えない利益であることが、意外と経営の基本であるのに関わらず、忘れられていることなのです。 


新しい事業を始めるときに、こうしたフリーキャッシュフローをエクセルで数年分、計算してみればいいのです。紙の上ではいくらでも失敗してよいのですから。


ともあれ、今年のトータルアンチエイジングセミナーは、一味違ったよいものを提供できたのではないでしょうか。

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2006年9月21日 (木)

クリニック経営のWEB戦略

Fi1273_0e このブログやクリニックのホームページを見て下さる方が最近多くなってきたようで、お問い合わせを良く頂くようになりました。


自分の今まで書いた論文や、講演内容、ブログなどを一箇所に集めたほうが見やすいのでは? というご意見も頂いて、では、プライベートホームページを作ってみようかと思い付き、久しぶりにホームページ作成ソフトを買ってみました。


僕はもう1981年に販売された、PC8801という国産のパソコン(当時はマイコンと言っていましたが)を親父が仕事用に買ってからのPCユーザーでした。あの頃はBASICという言語を使ったり、マシン語を覚えてみたり、マイクロソフトのウインドウズの原型のMS-DOSというOSを使っていたことを思い出します。


その昔ホームページを初めて作ったときは、ワードを使ってHTMLをべた打ちするしか方法を知らなかったのですが、今回ホームページビルダーVOL10を購入してみると、フラッシュ(動画)は作れるし、画像は多く含まれているし、この世界は本当に進化著しいですね。


ところで、よく混合される「美容整形外科」と「美容皮膚科」では、WEB戦略が微妙に異なることをご存知ですか?


なぜ違うのか? と言えば、単純に客層が違うのです。


美容整形外科というのは、患者さんが人知れず自分の容姿についてずっと悩んでいる場合が多いのです。家族や友達にも相談できず、インターネットで検索するしかない患者さんにとって、各医院のHPは手術内容や金額、その効果が詳しく書かれていればいるほど良い、とされます。そして、予約もすべてHPから申し込みが出来、問い合わせもすべてメール対応で、受付や医師など現場スタッフとの会話によるコミュニケーションを必要最低限に留めたい患者さんが多いのです。HPに求められるものが、デザイン性や院内の設備といった視覚的情報やエンタテイメント性よりも、堅実な文字情報によるメニュー内容とアクセスの簡易性であるということですね。


反対に美容皮膚科の場合は、デザイン性や院内の設備、そのクリニック及び院長の哲学、イメージ・・・というものが重視されます。ネット全盛の時代にあっても、美容皮膚科の場合は雑誌やTVでの露出に人気が左右される場合も依然多く、WEB検索の仕方もちょっと違うのですね。


また、美容皮膚科の場合一番の集客は口コミです。「あのクリニックに行ったら肌のシミが全部取れてよかったわよ」「あの人もあそこに通ってるんだって」「あのクリニックではスタッフが親切」・・・など、美容皮膚科は美容整形外科と違って、友人知人で情報交換をしあう患者さんが多く、口コミに勝るPRはありません。


雑誌やTVでそのクリニックを知った患者さん、あるいはそのクリニックは知らなくともレーザー機器や有効な施術法を知った患者さんが、そのキーワードを元に検索をかけます。いわば美容皮膚科の場合、WEBがまずありきではなく、口コミやマスメディアによる情報がまず先にあって、そこからWEBに検索をかける方が多いのです。


こうしたことを踏まえた上でHPを作成していくわけですが、新しいクリニックでは従来の美容皮膚科におけるHP作成テクニックに、美容整形外科的HPテクニックと、もうひとつ別のテクニックを合わせて構築しています。ブログも実は自分なりにいろいろ日々試行錯誤しているのです。


HPやブログを見てくださる方が増えるのは、こうした地道な苦労(?)が報われているようで嬉しいですね(笑)。

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2006年9月18日 (月)

MBA友の会

Fi1265_0e 神社めぐりの後、昨日はMBA友の会の分科会?で、ヘルスケア友の会という勉強会に参加してきました。


MBA友の会というのは、知り合いにご紹介いただいたのですが、いわゆるMBAホルダーや、学生、学生志願者などが集まって定期的に勉強会を開いているらしいのです。


今回はそのヘスルケア友の会で、医療経営の勉強会をするというので参加したのです。参加者は約20名ぐらいだったでしょうか。


こういった勉強会に三連休の真ん中に参加するというのは、みな医療の経営の分野には興味があるのでしょうね。


昔は医療の分野で「経営」という言葉を使うと、「金儲け」を連想させてしまい、考えられませんでしたが、今のクリニックにはCTやMRI、SPECTに多種多様にわたるレーザー機器といった数千万から数億の高額機器を導入しなければ、最先端の医療技術を患者さんに提供できなくなりました。


一方で、保険診療費が4%も落ち込み、医院や病院の建物の維持さえも、難しくなっている医療機関があるのです。常識的な範囲での経営知識を、医師が身につけなければならない時代になってきたのです。


かといって経営学の知識をそのまま医療に応用するわけには行きません。医療という分野は、他のサービス業と違った特質がいくつもあるからなのです。やはり、一番大きなものは、医師と患者との間の、知識の非対称です。もとより、医師と患者との間には知識の開きがあるので、医師の努力が、患者には見えにくい。その一方で、患者も医師の説明次第で、治療方針を決定せざるをえない。


また、マイケルポーターの基本的な経営戦略である、コストリーダーシップ、差別化そして集中化戦略ですが、医療の持つ、公益性、倫理性の考えを強調すると、これら全て、そのまま医療界には適応できない状況にあります。


昨年の都内の美容皮膚科クリニックの新規参入は60院もありました。しかしながら、昨年40院は廃業です。自費診療の分野から、まさに医療機関の競争が始まったといえますが、良い医療を提供している医師が、経営のいざこざで職を失ってしまう可能性もあるのですよね。由々しき問題に発展しなければ良いのですが…。

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2006年9月14日 (木)

「戦略的アンチエイジング医療経営」

Fi1257_0e 最近、美容医療クリニックの経営をしたいというドクターや企業の方が増えているようで、僕のところにも経営指南の問い合わせが良く来ます。特に都心部ではなく、地方都市のドクターの相談が増えていることが最近の傾向でしょうか。


昔のように、美容整形が主流だった時代はもう終わりました。今はメスを使わず、レーザーやフィラー(注入療法)や化粧品などで、肌のメンテナンスを行いながら、無理のない若返りを希望する患者さんが増えました。こういったクリニックを”美容皮膚科”と業界では呼んでいます。


僕は今まで、4軒のこうした美容皮膚科クリニックの立ち上げに関わって来ましたが、一番財務を圧迫するのはレーザー機器です。


近年のレーザーの進歩は本当に早いのです。レーザー会社が作った新しいレーザーが、わずか数年で全く新しい機能を持った新機種に変わってしまうことも良くあります。全く医者泣かせですよね。


ほんの数年前までは、美容目的のレーザーといえば脱毛レーザーでした。98年ぐらいでしょうか。その当時サイノシュア社のLPIRというアレキサンドライトレーザーが一世を風靡しました。あとは、シミをかさぶたにして取るルビーレーザーがありましたね。


99年になってフォトフェイシャルという光治療器がでて、ノンアブレイティブ治療(肌にかさぶた等、日常生活に復帰できない期間がない治療)が可能になりました。つまり施術をしたその日に、化粧をして帰宅できるのです。


その後、オーロラ、ポラリス、オーロラプロなどの機種が開発され、現在はその4世代目のギャラクシーという機器が最も新しいのですが、さらにこの秋、eMAXという5世代目の機械がリリースされます。


また、2002年にサーマクールという機械がデビューしました。この機械はRFという技術を使って、メスを使ったフェイスリフトに変わる”肌のたるみの引き上げ”という施術を可能にした画期的な機械です。


2005年にはフラクセルという機器が日本で販売されました。これは肌を改善するのではなく、まったく新しい肌に新し入れ替えてしまうという、コロンブスの卵またはコペルニクス的展開の全く新しい発想の機種です。


こういった機器は、1台1000万円から2000万円という破格の金額がつけられます。フェラーリが購入できますね(笑)。もちろん、車と同じようにこれらは割賦で購入することが出来ます。


レントゲンやCT、MRIと違って、人の生死に関わらない美容目的の医療機器購入に数千万円を支払うという発想は、20年前の医療法人にはなかったものです。しかも株式組織ではない個人クリニックで、こうした機器を購入するのは大きな決断が必要となります。ただ、減価償却を考えれば、二年目以降は税引き後の見えない利益が決算書にのることになります。


たとえば2000万円の機器を購入したとき、5年の割賦で考えれば一月あたりの出費は33万円です。この金額を稼ぐのに必要な患者数は一人3万円の売上げがあるとして、わずか、11人でいいのです。よほど患者さんに嫌われる医師でなければ、安定経営は可能ですよね。


こういったクリニックの場合、経営陣として、損益計算書(P/L)と賃借対照表(B/S)だけではなく、キャッシュフローベースでの財務状況をある程度把握することは大切です。僕はクリニックを作るときに、エクセルを使って、必ず5年間の収益構造の予想をすることにしています。紙の上ではいくらでも失敗できますから。


そして、クリニックの現在資産価値をコーポレートファイナンスの知識を使って算出します。これには純資産法とDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法を主に使って計算するのですが、この作業をすることで、企業価値を上げるという、経営学の基本に戻ることが出来るのです。


経営学やMBAの知識を持って、医療業界に参入するのは、竹槍を持った兵士の中に、戦闘機がミサイルを撃ち込むようなものです。僕が、保険診療を主体とした個人クリニックではなく、自由診療主体、しかもこうした高額機器を主体としたクリニック経営に興味を持ち携わっているのは、この業界ならではの経営ダイナミズムを体験できるからというのも、大きな理由です。


9月24日に京王プラザで開催される第7回トータルアンチエイジングセミナーに招待講演を頼まれましたが、こういった医療経営学の話をしたいと思っています。


御題はズバリ、「戦略的アンチエイジング医療経営」。乞ご期待です。

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2006年9月 1日 (金)

天才社員の育て方

Fi1217_0e 以前にご紹介したトップポイントの[関連した日記LOG]今月号に天才社員の育て方という本が紹介されていました。


スポーツ心理学の第一人者が、20年以上の研究を経て独自開発した「右脳開発メソッド」をビジネスリーダー向けに体系化した本です。


これまで日本は、個人の力よりも、集団の力の方が重視されてきました。しかし、今、経営者の多くはイチローのように自分で考え、試行錯誤しながら目標に向かっていく孤高の異端児、いわば天才社員を求めているといえるのです。


天才社員の能力開発をするときには、一段目持続力、二段目没頭力、三番目想像発想力、四番目人間力という四つの段階に分けて、さらにそれぞれのステップを4つのタスクによって合計16に分ける。この16のタスクをクリアにしていく仕組みを社内に創るということが大切なのだと書かれています。


三番目の想像発想力は先日のブログにも書きましたが、四番目の人間力というのは、危機管理能力、回復力、行動力、自己表現の4つのタスクに分かれています。こと既存の日本の教育では得がたいものですが、こういった方面の人材教育には非常に興味があります。いつか仕事にしたいと思っています。


そうそう。最近、TOP POINTの新規読者の紹介者欄に僕の名前を書いてくださっている方がいます。「○○様をご紹介頂き、ありがとうございました」というはがきが来るのですが、所属もはがきには書いてありません。見覚えのない名前もありますので、おそらくこのブログの読者の方なのでしょうが、とても嬉しいことです。この場で、御礼申し上げます。皆さん、ありがとうございました。これからも国際学会周遊記にお付き合いください。

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2006年7月 5日 (水)

ブルーオーシャン戦略

Fi991_0e Harvard business school pressのブルー・オーシャン戦略 W・チャン・キム (著), レネ・モボルニュ (著), 有賀 裕子 (翻訳) という本を読みました。非常に面白かったのでご紹介します。


近年の技術進歩のおかげで、企業はかつてないほど多彩な製品やサービスを生み出せるようになりました。 しかし製品やサービスのコモディティ化が進み、価格戦争は熾烈になりました。差別化、低コスト、コア・コンピタンス、ブランディングなど、これまで数々の戦略を駆使して競合他社との戦いが行われてきたわけです。しかしながら、ライバルと同じ市場で戦うかぎり、どれほど巧妙に戦略を練ったところでいずれ消耗戦を強いられることになります。


血みどろの戦いが繰り広げられるこの既存の市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」と呼ぶのなら、いま企業がめざすべきなのは、競争自体を無意味なものにする未開拓の市場、「ブルー・オーシャン(青い海)」なのです。


この本は、T型フォードからCNN、セメックス、ニューヨーク市警察、シルク・ドゥ・ソレイユまで、過去120年間30業界で生み出されてきたブルー・オーシャンの調査結果をもとに、未知の市場空間を創造し、差別化と低コストを同時に実現するための戦略を説き明かした画期的な本でした。


このの内容を、現在の医療市場に照らし合わせると、非常に面白いと思います。今までの医療経営とは、医療の専門家として、限られた“病気の人“を取り合うという言わば、血みどろの戦いが繰り広げられる「レッド・オーシャン(赤い海)」だったのです。


しかしながら、これを予防医学や、抗加齢医療という広い枠で捕らえなおし、未病のうちに治療を行い、健康で元気にいられるようにすると、まさに経営的にも他に真似の出来ない「ブルー・オーシャン(青い海)」に飛び込んで行けるというわけです。でも、市場になるためには顧客の満足度が高く、しかも望まれているものでなければなりません。


今後も世の中のニーズを追及した医療界でのブルー・オーシャン戦略を選択して行きたいと思いました。

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2006年7月 4日 (火)

ビジネスマンが時間を節約する方法

   
Fi987_0e ビジネスマンは忙しい。僕も含めて、企業を動かしている人間は、与えられた業務をこなすだけではなく、組織の数年後の社会的なミッション、ビジョン、バリューを常に考え、社会的なニーズとシーズを実現するために頭を使うのです。


でも、世の中には月に100冊以上のビジネス本が出ますよね。全部読む暇はないのです。でも、ビジネスマンにとって本当にお勧めの本があります。TOPPOINTという会員制の月刊誌なのです。

詳しくはWEBを見ていただきたいのですが、毎月、100冊以上ものビジネス関連の新刊書を読破し、それらの中から

●内容が斬新で、
●アイデアに溢れ、
●経営者、ビジネスマンの皆様に本当に役立つ本

を10冊選び、そのダイジェスト4ページにを載せて毎月送ってくれるのです。この価格が月にたったの1050円。もう5年ぐらい読んでいますが、これほど役立つ月刊誌はないと思っています。


本というのは、本当に大切なところは20%ぐらいしかありませんよね。これを4ページダイジェストにしてもらうと、本を買う必要がほとんどなくなってしまうのです。僕は5年間で、500冊以上のダイジェストをもらったことになりましたが、このダイジェストを読んで、実際に買った本は、数冊です。


一冊2000円のビジネス書を500冊買ったとしたら百万円です。五年間トップポイントを買うと、約5万円ですから、約20倍のレバレッジです。時間の節約を考えたら価値は高いですよね。


ご興味があったら是非購読を申し込んでください。ちなみに知人の紹介の欄に藤本 幸弘と入れてくれれば、僕の購読期間が3ヵ月伸びるので、よろしくお願いします(笑)。でも、冗談抜きにお勧めの雑誌なのです。


そういえば、日本人というのはことダイジェスト本が好きな国民らしいですね。以前に中国史をまとめた十八史略という本が日本で売れたらしいですが、これは驚異にとられたようです。長い文章のなかから楽しみながら文脈を読みとるという楽しみを、自ら放棄してしまうわけですから。


一気に100冊ベストセラーなんて本もありましたね。でも、ビジネス書ならともかく、小説のダイジェストというのはどうなんでしょうか???結構売れたらしいですが。

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2006年4月 1日 (土)

ささやかな楽しみ

遊びと勉強を兼ねて、株をやってます。と言っても小遣い程度のお金を使って、10円の上下で一喜一憂したりするだけなんですけどね。あとは株主優待を使って家族サービスしたりしています。

先日食事をした、オペラシティの春花秋灯が気になったので、親会社であるコロワイドの株を先週買ってみました。実はこの会社、年に4回も1万円の食券を贈ってくれる、株主に優しい会社なのです。

さきほどネットで、ふと株価を見てみたら、なんと!株価がすこしだけ上がって、最初に投入した金額より5万円も得していました。株の5万円って、大きいですよね。実際の金額以上にうれしいものなのも不思議です。

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2006年3月10日 (金)

医療機関の株式会社化のススメ

Fi733_0e 国民医療費は2005年で35兆円を超え、対国民所得比でも上昇を続けている。これは、近年の医療技術や医療用設備・機器の進展、またIT化による情報装備の必要性に伴って、医療機関における資金需要は大幅に拡大していることも大きな原因になっている。


現状では、初期投資額がどんなに多額であっても、医療機関の資金需要は医療法人か、個人病院院長個人の債務としてしか吸収できない。経営のうまく行っていない、または新規参入の病院は、債務超過のため、最新鋭の機器を導入できないということになる。これはサービスを受ける地域の住民の不利益につながる。以前に自分が経営していたクリニックチェーンの新規機器購入のために資金調達を考えて、株式公開させようと算段したことがあるが、残念ながら現法制下では不可能であった。法が制定された当時には、十億円規模の投資を医療機器に行うことはあまり想定されていなかったということである。


日本においては、“営利を目的とした”医療機関の開設は認めておらず、剰余金の配当も禁止されている。しかしながら、医療の分野でも、経営、資金調達、サービスの提供のノウハウに長けている株式会社の参入させ、医療費の削減を目指すべきであるという議論がなされて久しい。医療機関経営の効率化を促し、またそれに触発された非営利法人が効率的な経営ノウハウを積極的に導入することによって、医療分野に競争を促す。営利・非営利の違いにかかわらず、医療機関間の競争を促進することは、患者本位の医療サービスの実現につながるはずである。


株式会社等による医療機関経営は、政府の規制緩和・民間解放推進会議の答申をきっかけに盛んな議論が行われているにもかかわらず、構造改革特区において認められたものの、参入が可能とされる対象は自由診療(保険外診療)だけで、しかも高度な医療等に限定されたものに留まった。また、その後の規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申(平成17年12月21日)においては、株式会社等の医療機関経営への参入に関しては削除されており、議論は先送りになってしまった。非常に残念なことであると思う。


株式会社の病院経営参入を巡る主張
(出典)日本経済新聞(平成16年8月14日)

厚生省
利益追求の結果、医療費の高騰を招く恐れがある
利益が上がらない場合の撤退で医療の継続的な確保に支障が生じる
非営利原則の下で病院経営を効率化し、質の高い医療サービスを提供すべきだ


 規制改革・民間開放推進会議
多様な競争が生じれば患者の選択肢が広がる
現行の医療法人でも経営が悪化する例があり、株式会社と違いはない
経営、資金調達などに長じた株式会社の参入で病院経営を効率化できる


岡部(文献参照)は2002年に株式会社病院に対する批判とその妥当性について、以下の3点のように検証しているので引用する。


第一の批判は、「株式会社は営利を追求するための組織であるため、暴利をむさぼり、質の悪いサービスを提供するおそれがある」とする点である。しかし、このような企業は消費者の支持が得られずに短期的にはともかく、長期的には市場から追放されている。そもそも、医療行為の適切性は経営主体の違いとは無関係であって、医療に従事している病院経営者や医師・看護師など個々人の倫理感の問題である。


第二には、「株式会社は利益が得られなければ、市場から安易に撤収する」という点である。利益が得られなければ存続できない点は非営利病院も同様であって、株式会社に特有の弱点とは考えられない。逆に、わが国に残存する株式会社病院の過半は赤字経営を続けているが、本業(収益事業)からの支援によって生き延びており、資本力のある株式会社は創業期には赤字覚悟で新規分野への進出を試みるケースが多い。


第三には、「株式会社は儲かる分野のみを手掛けて不採算分野は敬遠するため、救命救急部門などが不可欠な医療には適さない」という、いわゆるクリーム・スキミングの非難である。これはわが国においては、病院全般にそのまま当てはまる非難である。救命救急医療などは採算性の問題もさることながら、公的病院においても定員制や勤務条件などの硬直性がネックとなっているので、これらの点について柔軟に対応できる株式会社病院が手掛けるのに適しているのではないかとの見方もある。


非営利性と公益性は必ずしも同一のものではない。株式会社であっても、事業法により公益性を担保している電力会社、ガス会社なども存在する。株式会社が出資した医療法人であっても、医師の応召義務やカルテ公開等の医療行為に関わる規制を全ての医療機関について強化することで、公益性を担保することは可能と思われる。


実際には現行の医療法施行前に設立された株式会社病院が日本国内で62機関も存在しており、経営状態も、地域住民の評判も良い。当然、欧米諸国においても、医療機関経営への株式会社の参入は原則として認められている。


医療の分野に経営、資金調達、サービスの提供のノウハウに長けている株式会社の参入を許可し、競争をさせることが、結果的に医療費の削減と患者サービスの満足度の上昇をにつながると考える。一刻も早い法改正を望む。


参考文献
岡部陽二、2002、「病院経営への株式会社参入の是非を問う」、金融財政、第9463号、12月5日号、pp. 2-8

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2006年3月 9日 (木)

疾病構造の変化

Fi734_0e 日本の死因順位は、戦後まもなくの頃は、1位が全結核、2位が肺炎及び気管支炎、3位が胃腸炎で主として感染症が占めていた。一方、近年のそれは、1位が悪性新生物、2位が心疾患、3位が脳血管疾患となり、いわゆる慢性疾患と言われるものが中心である。現行の医療制度・医療保険制度は感染症や救急医療などの急性疾患対策が重点的に進められていた時代に作られたものであるが、その後の死因の推移をみると当時の医療政策は成功裏に機能したことが分かる。


高度経済成長期を境に国民の所得は向上し、生活も充実し続け、その結果、肥満、高血圧、高血糖、高脂血などに起因する、いわゆる生活習慣病が増加した。生活習慣病は、カロリー、塩分、脂肪などの過剰摂取などによる不適切な食生活や、運動不足、ストレス過剰、飲酒・喫煙習慣などが原因とされ、長期間の持続的予備状態を経て突然発現するものがほとんどである。これらの生活習慣病が高じると心筋梗塞、狭心症、脳出血、脳梗塞、糖尿病の合併症など重度の疾患に発展する可能性がある。


現在の病院診療では主として重度の症状に対して手術や化学療法など先端医療技術を駆使して治療することに重点がおかれている。もちろんこれらの先端医療の研究とそれを適用する専門医療は今後とも継続していかなければならない。しかし、生活習慣の変化や高齢者の増加などによって生活習慣病の予備群が増加している現在(例えば、厚生労働省資料によると、糖尿病の有病者740万人、同予備群 880万人、高血圧症の有病者 3,100万人、同予備群 2,000万人など)、急性疾患の治療に重点をおいている病院の機能を慢性疾患予備群の予防やケアへと重点を変えていくことが必要となっている。


現在問題となっている生活習慣病など慢性疾患を減少させるためには早期発見が重要である。これに対しては公的な診療所、保健所、病院などによって健康診断が実施されているものの質量ともに十分とは言えない状況である。また、一般病院によって人間ドックなどの健康診断事業も行われているが、医療保険の対象外になっていることもあって病院事業の主流と位置づけているところは少ない。生活習慣病に対する早期発見と同時に、食生活、適度な運動、ストレス解消などさまざまな角度から総合的に予防、指導、ケアができる専門の病院を早期に充実させる必要がある。

クリニック銀座の関谷院長は、こうした予防医療に多くの知識と興味を持っているので、展開が楽しみです。

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2006年3月 5日 (日)

マイケル・ポーターの基本戦略

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MBAを取得し、論文を書いたときに、日本の医療経営の問題点についていくつか調べる機会がありました。まとまった時間があったので、少しまとめてみました。いつものブログと文体が違い、論文調なので、ごめんなさい。でも自分が常に考えていることですので、いくつかアップしてみます。よろしかったらお付き合いください。


 近年の医療技術や医療用設備・機器の進展、またIT化による情報装備の必要性に伴って、医療機関における資金需要は大幅に拡大しつつある。病院経営においては、職員が誇りと満足感をもって働ける環境づくりと管理・指導、効率の良いファイナンスも必要である。


 しかしながら、現行の医療制度においては、診療報酬の統制に加えて、一般企業の医療事業への参入禁止、広告の規制、混合医療の保険対象外、病床数の規制などさまざまな規制があり、これが非常に非効率な医療経営を招いている。いわば、両手を縛られたまま医療経営をしなければならない状態である。2006年4月の診療報酬の抑制により、投資の終了した既存の医療経営母体でさえ組織維持が難しく、新規参入などはほぼ不可能になる。


 この事実によって、最新のそして質の良い医療サービスを受けたいと願う消費者にとっても、選択肢を制限されていることに気付くべきである。このような現状を打破するためにはやはり、各種の規制を緩和し、医療市場に競争原理を導入する必要があると思う。


 病院間における競争戦略に関して、マイケル・ポーターの3つの基本戦略、すなわちコストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中化戦略を考慮すると以下のようになるが、これらは日本の9割以上を占める個人院長のクリニックには適応できず、医療市場においては、競争の原理は働いていないということが良く理解できる。


 日本の医療報酬は標準診療点数制をとっており、これが存在する限りコストリーダーシップ戦略を用いることはできない。この診療点数制については、患者にとって自己負担はあるにせよ社会保障方式の医療保険制度によって直接的に懐が痛まないために、患者が過剰な治療や投薬を要求する一方で、それに応えない医師の評判と収入が下落したり、医師は医療努力を低下させるなど弊害が多い。


 差別化戦略に関しては現行医療制度の下でもさまざまな工夫が考えられる。例えば、最新の施設・設備の導入、有名専門医の招致、早朝・夜間診療や休日診療など診療時間の拡大、巡回・訪問診療など診療空間の拡大、また患者への接遇の改善、予約制による待ち時間の短縮などによるサービスである。


 集中化戦略としては、例えば、今後増加すると考えられる循環器科・消化器科・脳神経科などに専門特化することにより一連の迅速な検査、適切な診断、早期の治療が可能なようにスタッフを揃えることなどが考えられる。


 欧米においては、病院の経営者(CEO)は、経営のプロが務めるのが慣行となっており、医師が務める場合にも通常はMBA(経営学修士)などの資格を取得している。今後の医療機関の管理運営においては、医療の知識・技術もさることながら、マネジメント能力やマーケティングの素養が不可欠となっている。日本の医療法人の理事長や、個人病院の院長は原則として医師の資格が必要であるが、この悪法は時代に即しておらず、即刻改正すべきである。

病院経営を医師の片手間な経営ではなく経営のプロに任せることによって、経営の透明性・健全性・尊法性を確保し、迅速かつ適切な情報開示を行い、また経営・管理責任の明確化ならびにアカウンタビリティの徹底も促進する必要があると思う。

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2006年2月 9日 (木)

医療と経営

大学を卒業して初めて外来に出て、診療することでお金をもらうということに、とても違和感を感じたのを覚えています。医者になる前は、「感謝されてお金をもらえるなんてなんていい商売なんだ」と勝手に想像していたのですが、社会的責任や、患者さんにとっての生涯を決めるような大きな局面で、医療という命に関わる知財を提供することで、お金をもらうというシステムが、どうしても割り切れなかったのです。名医として名高かった死んだ祖父が、息子たちを一人も医者にしなかったというのも分かる気がします。

 医療と経営は二律背反します。良い医療、特に最先端の医療を提供しようとすれば、経営面で病院はその組織の維持さえ出来ない状態になります。医師は心から良い医療を提供したい。しかし、病院を経営する人間にとっては、そんなことをやられてはたまらないわけです。診療の公共性を増すために、日本は利益の配分が出来ず、出資比率が経営決定権に関与しない医療法人なるものを作りましたが、そもそもこのような仕組みが経済市場の中で、うまく行くはずがありません。極論ですが、病院でお金を稼ごうと思ったら、盲腸の手術を素晴らしい手術で成功させて3日で退院させるより、失敗して術後感染させ、抗生剤を垂れ流して2週間入院させれば良いのです。

 落ち着いて医療関係者が診療を行うためには、人間的な余裕が必要だと思います。それは時間的余裕、精神的余裕、そして経済的余裕です。今の日本の医師にこれらの余裕があるのでしょうか?極限状態で働かされている医師の中には不謹慎な発言をする人間も確かにいます。死に日常的に触れる事で、だんだん人間としての感覚を失ってしまうのです、いや、逆に失うようにしなければ自分の精神を維持できない場合だってあるのです。

 大学病院にいた時に、ガンの患者さんに余命を説明している外科医師が、ショックを受けている患者さんに「ガンで死ぬのがそんなにいやかなー。僕なんて、もう死んじゃいたいけれど。」という言葉を口に出しているのを聞いて、耳を疑いました。彼の理論では、人間は所詮、致死率100%なのだし、ガンだったら余命があるので、その期間に身辺整理が出来る。脳梗塞や脳出血で突然死んでしまったら、それさえ出来ないでしょう。ということを言いたかったのだと思います。それにしても酷すぎますけどね。

 ただ、自分もそうだったのですが、日常死に関わっていると、人間は必ず死ぬし、突然事故に巻き込まれることも多いから、いつでも死を受け入れられるというか、明日死んでもしょうがないか、という達観した気持ちになってきます。だから今日全力で頑張れるわけです。そういえば医者の平均寿命は他の職種より10歳近く、短いんですよね。無理して生活していることもあるでしょうし、精神的に参ってしまう人、手術中に肝炎の患者さんの血を浴びて、肝炎をもらってしまう人、X線造影をやりすぎて、白血病になってしまう人。身の周りにも何人も若くして命を落とした人がいます。医者も因果な商売ですね。

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